この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。
安田
久野
増えてます。ただ一方で過剰感もあって。リストラも増えています。
安田
久野
人によるんでしょうけど。50後半からは難しいって聞きますね。あまりやる気がない人もいて。
安田
久野
とくに中小企業は大手のような資金的余裕がないですから。
安田
中小企業は退職勧奨したらすぐ辞めていっちゃいそうですけど。
久野
いや、そんなことないと思います。ずっと同じ会社で勤めてきて、よその会社で通じるようなスキルもない、という人は退職勧奨をしても辞めない。
安田
50代後半でその立場なら我慢しちゃうのかもしれませんね。とはいえ定年になったら辞めなきゃいけないし。
久野
今は65歳ぐらいまでは働かなきゃいけないですから。大変ですよ。
安田
最低70歳じゃないですか。50代でリスキリングくらいやっとかないと60過ぎたら食っていけない。この先、日本人は何歳ぐらいまで働くようになると思いますか?
久野
晩婚化も進んでいますし、国の政策としては70まで働かせたいでしょうね。ただITとかAIとかやってる時代に企業も雇い続けるのはしんどいですよ。
安田
人間が必要な現場ってまだまだありますけどね。例えばバンダイが作っているガチャガチャ知ってますか?
久野
安田
そうそう。あれが今めちゃくちゃ流行っているらしくて、コンビニとかモールとかいろんなところにあるんです。子供だけじゃなく大人も喜んで買うんですよ。
久野
安田
やりますよ。私も先日500円ガチャをやってしまいました。
久野
500円って超高いガチャですね。何が出てくるんですか?
安田
私がやったのは昆虫ガチャで、実物大のヘラクレスオオカブトが出てきました。パーツが10個ぐらいに分かれていて関節が本物みたいに動くわけですよ。
久野
安田
今めちゃくちゃ売れていて、現場でお金を回収したりガチャガチャの中身を詰めに行く人が必要なわけです。そこに高齢の方が再雇用で重宝されていると聞きました。
久野
なるほど。それはアリですね。ただ40代のバリバリの人と同じ働き方となるとちょっと厳しいですよ。
安田
何をやるかによりますよね。管理職なんて無くなっていくでしょうし。たとえば建設現場の施工管理とか。
久野
確かに人材としては絶対必要ですし、真面目に仕事をやり切ってくれる世代なので信頼感はありますね。
安田
久野
安田
そうですね。現場から何十年も離れていて。仕事を忘れている人もいるでしょうね。
久野
覚えていても通用しないですよ。当時の営業スタイルとか。
安田
確かに。そう考えると「現場に戻らなきゃ」と思って転職する人が増えているのかも。
久野
それは賢明な判断だと思います。いちばん分かりやすくて稼ぎやすいですよ。現場は。
安田
そうですよね。営業とかも人間がやらなくちゃいけない部分ってあるじゃないですか。急いで商品を届けにいくとか。
久野
そういう仕事には向いているかもしれないですね。現場でお客さんと仲良くなって。
安田
そうそう。ちなみに久野さんの会社は何歳定年ですか?
久野
安田
久野
まだ誰も直面していないから手付かずですね。1番上で50歳ぐらい。
安田
久野
継続雇用制度は今65まであるじゃないですか、どこの会社も。
安田
継続雇用でもいいと思いますけど。定年を伸ばした方が人は採りやすい気がします。
久野
いや、難しいですよ。要は5年間同じ条件で雇いますって約束するわけじゃないですか。
安田
そうですね。でもそれは入れ替えるコストとの比較ですよ。ちゃんと代わりの人が採れるかどうか。もちろん入れ替えた方がいい会社もあるんでしょうけど。
久野
日本の労働法では60歳で一応定年にして、いい人だけそのまま雇うことも出来ます。ただ定年を伸ばしちゃうと労働条件が基本下げられないので。
安田
久野
そうなんですよ。だから日本って定年が上がらないんだなと思います。
安田
久野
そう。むしろ上がっている人もいますからね。ちょっと言いづらいけど、それが現実です。
安田
大手で管理職をやっている50代の人はちゃんと考えた方がいいですね。とにかく早く現場に戻って何らかのスキルを付けないと。60代は悲惨ですよ。
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安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。