第358回 採用選考はAIでどう変わる?

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第358回「採用選考はAIでどう変わる?」


安田

今の就活生ってエントリーシートをAIに作らせているらしいですね。

久野

大手の就職支援サイトに標準で実装されてるんですよ。アシスト機能が付いていて。

安田

こうした方がいいですよって教えてくれるんですか?

久野

たとえば職務経歴書は「こういう仕事をしてました」って音声で話すとそれっぽいのが出来上がる。盛りはしないけどいい感じに仕上げてくれます。

安田

すごいですね。新卒の場合はエントリーシートをいい感じに作ってくれると。

久野

はい。昔は就活の攻略本があったじゃないですか。「絶対内定」みたいな。

安田

ありましたね。ギャラを取って学生にエントリーシートの書き方を教える人がいました。今はそれがAIに置き換わっているわけですね。

久野

そう。だから人事の人もエントリーシートではもう見分けがつかない。

安田

ロート製薬は2027年からエントリーシートによる書類選考を廃止するそうです。代わりに対話を通じて学生1人1人の個性や価値観を把握すると。

久野

ある程度は書類選考せざるを得ないと思いますよ。一人ひとりと面談すると相当な時間がかかるので。

安田

その場合は何を基準にして書類選考するんですか?

久野

結局は学歴になるでしょうね。

安田

1週して元に戻った感じですね。

久野

いずれは一次面接をAIがやるようになると思います。

安田

AIがやるということはオンラインですか。

久野

動画かzoomでやるんでしょうね。感じが良かったとか、話にストーリー性があったとか、論理的説明ができているとか、そういう判断をする。

安田

もう面接官が要らなくなりますね。

久野

ただ受ける側もAIエージェントが隣にいるかもしれないので。

安田

確かに。

久野

質問が来たら「こうやって回答しろ」みたいな指示が出て。AI同士の茶番が繰り広げられるかもしれない。

安田

となると最後はやっぱり人間が面接する?

久野

ゼロにはならないと思いますね。あとはリファラル。やはり人からの紹介は強いと思います。

安田

つまり縁故採用ですよね。そこは昔から変わりませんね。

久野

そうですね。人間はどうしても間違えるので。信頼できる人からの推薦は強いと思います。

安田

面接が上手な人っていますもんね。仕事は全然できないのに。

久野

何社も渡り歩いている人って上手になっていくんですよ。

安田

いかに人間の見る目がいい加減かってことですよ。

久野

そう思います。

安田

ネットの履歴書というサービスはどう思いますか?求職者のネット情報を全て集めてくるんですけど。本名で投稿していなくても集められるみたいです。これって違法ですか?

久野

いや、別に問題ないと思います。ネットは公知の情報なので。

安田

ネットにはすごい量の個人情報が落ちているので。かなり正確に見抜けるんじゃないですか。

久野

そうですね。あとは前の職場の人からのリアルな情報が欲しいです。

安田

話してくれるんですか?コンプラがうるさい時代ですけど。

久野

昔ほど話してくれないらしいです。でも元の社長や上司がちょっと不満を漏らす事はあるみたいです。

安田

辞められた社長は絶対不満を言いそうですよね。

久野

逆に「本当にいい人でした」って言ってくれることもあるみたいです。

安田

いい話は言いやすいですよ。「使えない人材だった」とか言いにくいです。さすがに。

久野

まあ一番大事なのは在職確認なので。実はいなかったとか。

安田

実はいなかった?そんなことあるんですか。

久野

履歴書ではずっと働いていたことになってるけど実は休職してたとか。結構あるみたいです。

安田

それは結構重要な情報ですね。日本の場合、雇ってしまうと解雇できないし。

久野

報酬もどんどん高くなっていますから。大企業はあの手この手で情報を集めるんじゃないですか。

安田

転職者をスコア化しちゃうサービスが出てくるかもしれませんね。

久野

はい。タイミーはバイトをスコア化してます。転職者情報もそうなってほしいです。会社だけがどんどんスコア化されている感じですから。

安田

転職者を全てスコア化するとなったら人権問題になりそう。労働問題にやたらうるさい国なので。

久野

日本では難しいでしょうね。

安田

社長には厳しいですけどね。何かやったらすぐ書かれたり大炎上する。

久野

社長の人権はあまり認められていないですから。不公平だと思います。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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