第360回 ベテラン社員が辞めていく日

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第360回「ベテラン社員が辞めていく日」


安田

45〜60歳の転職数がすごく増えているそうです。この10年で何と2.49倍。

久野

すごいですね。

安田

過去最高なんですって。一昔前は45歳を過ぎたら転職は無理だと言われてたのに。

久野

そうでしたよね。転職するなら40になる前が最後のチャンスだとか言われて。

安田

それが今では余裕で転職できちゃうみたいで。これって即戦力人材ってことでしょうか。

久野

いや、どの層もみんな転職できてると思います。今までが少なすぎたってのもあります。

安田

確かに今までほとんど動かなかったですもんね。なぜ急に動き始めたと思いますか?

久野

給料が上がらないのが最大の理由じゃないですか。実際に転職した人は給料が増えていますから。

安田

45歳以上でも報酬アップするんですね。

久野

大企業だと下がるケースが多いですが、中小企業の場合はほぼ間違いなく増えると思います。

安田

中小企業はそれだけ給料が安いということなんでしょうか。

久野

はい。経営者は気を付けなきゃいけないです。社歴の長い人は「どうせ転職しないだろう」ってあまり昇給させないじゃないですか。

安田

辞めるイメージが湧かないですもんね。

久野

今はその隙をついて「周りが狙っている」という意識を持っておいた方がいい。

安田

人不足の会社にとっては狙い目ですよね。義理があっても背に腹は変えられないですし。

久野

そう思います。「年収100万増やすからうちに来て」って言われたら心が動きますよ。同じような業種だったら欲しいじゃないですか。

安田

即戦力ですからね。

久野

抜かれるリスクはすごくあると思います。

安田

抜かれる側は大変ですよね。中小企業で45歳くらいだと仕事がかなり属人化してそう。

久野

そうなんですよ。1人が抜けるだけで仕事が回らない。抜けられるとすごく困ると思います。特に製造現場って長くいた人しかできないことが結構あるから。

安田

そうですよね。

久野

その割に社長も油断していて給料がけっこう安く据え置かれていて。

安田

明日もいるだろうと思い込んでるんでしょうね。

久野

でも迷っている人は多いと思いますよ。家も買って、子供もまだ大学生・高校生だし、もう少し稼がないとまずいよなって。

安田

とくに今は晩婚化の時代なので。物価も上がっていくし。でも転職して100万も上がるんですかね?

久野

もちろん人によりますけど。それだけ前の年収が安いってことですよ。この世代の平均決定年収って550万ぐらいなので。

安田

ということは前職がそれより低かったってことですね。

久野

低かったってことでしょうね。単純に考えてその年収なら50万変わるだけで転職の気持ちは芽生えますよ。

安田

年収50万アップで転職しますかね?

久野

だって月4万ですよ。大きいです。100万上がるとなったら月10万近く上がるわけですから。老後の資金計画も変わります。

安田

奥さんも後押しするでしょうね。今の年収じゃ厳しいから「もう転職したら」って。昔は嫁ブロックがありましたけど。

久野

はい。背中を押していると思います。ブロックどころか嫁プッシュですよ。「私が決めてきました」みたいな。

安田

冗談ではなく、きっと奥さんも転職情報を調べているでしょうね。

久野

ちゃんと調べて「あんたここ面接行ってきなさい」って。

安田

Geminiに聞けば何でも丁寧に教えてくれますし。「夫がこういう仕事してるけど、どういう業界に行けますか」って。

久野

エントリーシートも「AIで作って出しておいたから」って。

安田

もう受けにいくしかないですね(笑)

久野

共働きも多いから感覚的に「安すぎる」って分かっちゃうんですよ。

安田

今のままの給料で引っ張っていくのは、もう無理ってことですね。

久野

無理ですね。昔みたいに「我慢すれば給与が上がっていく」なんて信じてくれない。そういうのは全部幻想だって分かってきちゃった。

安田

いや、よく耐えてきましたよ、日本人は。

久野

もう我慢の時代は終わりです。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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