第346回「郵便ポストが象徴しているもの」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第345回「新卒採用は優良企業だけの特権?」

 第346回「郵便ポストが象徴しているもの」 


安田

デンマークではポストが無くなるそうですね。

石塚

思い切った戦略ですよ。いま取扱量がものすごく減っているから。お互いもう年賀状なんか出さないでしょ。

安田

出しませんね。だいぶ前から出していません。

石塚

僕も数年前から出してないんですけど。年賀状を気にしなくていい年末っていいですよ。

安田

正月になると無意味な年賀状がオフィスに届きますよね。宛名も挨拶文も全部印刷で。

石塚

あれは無意味ですね。もう行政の通知とかも全部メールにしてほしい。

安田

「郵送で送ってください」とかいまだに言われるし。いっそのことデンマークみたいにポストごと無くして欲しい。

石塚

デンマークは英断ですよ。ポストだけじゃなく手紙の配達自体を国が背負わなくなって。

安田

どうしても手紙を届けたいなら宅急便を使えばいいし。なぜ国をあげてこんな無駄なことやり続けるのか。

石塚

そこに既得権益があるからでしょう。郵便局は自民党の選挙応援集団だから。

安田

なるほど。

石塚

「ポストなくせ」とか言ったら、安田さん東京湾に浮かぶかもしれませんよ(笑)

安田

恐ろしい(笑)

石塚

でもポストってほんと大変なんですよ。集荷業務があるから。

安田

この人不足の時代にそんなことしてる場合じゃない。

石塚

安田さんに郵政大臣に就任してもらってポストと郵便を無くしてもらわないと。

安田

いやいや。私がやらなくても絶対に誰かがやりますよ。

石塚

どうだろう。お互い生きている間に変わるかな?

安田

変わるでしょう。さすがに。

石塚

マイナンバーだけでこれだけ揉める国ですからね。早くデジタルにしてほしいんですけど。

安田

手紙を送りたい人にはそれなりの価格を払って貰えばいいんですよ。

石塚

実際そうなんですけどね。そんなこと言ったらまた大炎上するから。

安田

日本人って税金を取られるのは嫌なのにサービスは残せって言うじゃないですか。

石塚

そうなんですよ。

安田

そんなの無理に決まってる。1通80円で採算が合うわけない。

石塚

これって「日本の社会設計」を考えるいい題材だと思う。

安田

確かにそうですね。ポストすらなくせないようではお先真っ暗ですよ。

石塚

高齢化社会とどう向き合うか、人手不足をどう解決するか、電子化・デジタル化をどう進めるか。この3つが絡む論点じゃないですか。

安田

そうですね。

石塚

これを解決できたら日本の未来も明るいですよ。

安田

まず手紙なんて人に回収させてる場合じゃない。

石塚

おっしゃる通り。本当に出したかったら自分で届ければいいんですよ。

安田

それいいですね。自分でやってみたらどれほど大変か、どれほど手間がかかっているか、どれほど安いか分かりますよ。

石塚

その点、国税庁は頑張ってると思います。

安田

そうなんですか?

石塚

e-Taxに強引に振ってますから。もう税務署に人が行かなくなりました。来年からはLINEだけにするんですって。

安田

それは素晴らしい。やればできるってことですよ。社員の税金や社会保険料を会社に集めさせるのもやめてほしい。

石塚

いやいや。それは財務省が許さないでしょう。源泉徴収制度にメス入れるって、それこそ消されちゃいますよ安田さん。

安田

消されてばっかりですね(笑)

石塚

既得権益中の既得権益だから。

安田

デジタル化が進まないのって既得権益の問題ですか?それとも日本人の気質の問題なんですか?

石塚

既得権益の問題もありますけど、要するに変更時に生じるマイナスを思い切ってバサっと切れないんですよ。

安田

なぜ切れないんですか。

石塚

100%みんなが賛成してくれるようなことじゃないから。政治判断がいるわけですよ。

安田

政治家ってそのためにいるんじゃないんですか。企業のトップは普通にやってますけど。

石塚

政治家は選挙が怖いんですよ。「あいつ、あれに反対したやつだ」なんてレッテル貼られちゃうから。オーナー社長と違って選挙に落ちたらただのオジさんだから。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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