第363回「雇用と外注の使い分け」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第362回「人不足が変える建設業界の未来」

 第363回「雇用と外注の使い分け」 


安田

中小企業は業務委託の活用が必須だと思いませんか?

石塚

間違いないでしょ。雇用100%はもう無理ですよ。

安田

たとえば社員20〜30人の会社だったら、どれくらいの外注費が理想だと思いますか?

石塚

会社によってかなり差が出ると思いますけど。月100万円ぐらいが最低ラインじゃないですかね。

安田

100万円あれば5人くらい腕のいいスペシャリストを確保出来ますね。

石塚

出来る。利益に結びついてない社員を2〜3人整理すればお釣りが来ますよ。

安田

利益貢献していない2〜3人を外部スペシャリスト4〜5人と入れ替える。めちゃくちゃいい会社になりますよ。

石塚

10年以内にそれがスタンダードになると思います。商品開発とか、マーケティングとか、SNS運用とか、中小企業が弱い部分を克服していくにはそれしかないから。

安田

まずは不要人材を減らすのが先ですか?その人たちの仕事はどうしますかね。

石塚

今すぐ月3万円のchatGPTproを契約すること。知り合いのコンサル会社は月10万払ってたアルバイトが置き換わったそうです。

安田

資料作成やリサーチはAIの得意技ですからね。

石塚

もうこの世の中から仕事のできないホワイトカラー会社員っていなくなると思う。5年もしたらかなり少数派になってますよ。優秀な社員が1人、あとは全部外注プロフェッショナルで回る。

安田

中小企業の管理職はどうなっていくと思いますか?

石塚

全部外注化でしょうね。社長と現場だけを残して。大企業はもうその兆候が出てる。リクルートも今リストラしてるじゃないですか。

安田

え!そうなんですか?

石塚

はい。リクルートはシステムエンジニアを千人規模でリストラしています。

安田

それは知りませんでした。社員のエンジニアも切ったんですか?

石塚

要するに生成AIに取って代わられるってことですよ。あの分野は早いですよ。ほんとに。

安田

そもそもリクルートに千人もSEがいたのが驚きです。

石塚

米国拠点の子会社のインディード、グラスドアの2社が対象で、米国の社員がメインですけどね。今の主力事業はインディードとか基本的に全部ITなんですよ。それを構築、運営するために膨大なテックエンジニアが必要で。

安田

そのエンジニアすらAIに置き換えられていくと。

石塚

そう。要らなくなった。

安田

営業部門は残るんですか?

石塚

営業部門はまとめてマイナビあたりに売るんじゃないですか。

安田

なんと!

石塚

ぎゅーっとスリム化して、収益率をとことんまで上げて、海外に進出するというのが現社長のビジョンですね。

安田

SEなんて引く手あまただったのに。

石塚

娘がカナダの大学に行ってるんですけど。もう海外の学生はコンピューターサイエンスに行かないんですって。AIにとって変わられるから。

安田

今の学生はどこに行くんですか?

石塚

様々でしょうけど。はっきりしているのは手に職っていう発想ですよ。大学を出たら何が出来るようになるかって日本の学生の10倍ぐらい意識してます。

安田

そもそもホワイトカラーという職種が出てきたのも、この数十年ですからね。

石塚

おっしゃる通りです。元々日本人はみんな職人だったわけですよ。原点回帰というか、おそらく100%に近い人が現場スペシャリストになっていくと思います。

安田

管理職なんていらない?

石塚

管理なんて、スマホアプリ1個ありゃ十分じゃないですか。現場に近い泥臭い仕事しか残らないと思う。

安田

なるほど。

石塚

営業でもラストワンマイルは自分で運んで、お客さんと話をして、それをシステムに入力して、また次の商品開発に繋げる。

安田

マーケティングは誰がやるんですか?

石塚

集客、マーケティングなんて、プロに月100万払って外注したらいいんです。社内に残すのは泥臭い仕事だけでいい。暑い日にわざわざ会いに行って、そこで信用を生み出す。そういう仕事にこそ価値があるんです。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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