第369回「新卒採用にこだわるなら地方国立」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第368回「暑さ手当について」

 第369回「新卒採用にこだわるなら地方国立」 


安田

地方学生が狙い目なんですか?

石塚

地方の国立大学ですね。ここに目をつけて採用している有名企業がありまして。

安田

どこですか?

石塚

野村證券です。ここはもう昔から地方の国立大学生が大好きで。

安田

それはどういう理由で?

石塚

理由は簡単で。まず文系も理系もあまり遊んでなくて、ちゃんと勉強してる。真面目で素直。東京に呼んでも喜ぶし、転勤を命じても割とどこでも行ってくれる。

安田

めちゃくちゃ都合のいい人材ですね(笑)

石塚

そうなんですよ。しかも今、地方国立大って結構レベルの高い学生がいるんですよ。

安田

それは経済的な理由で都心の大学に行けないから?

石塚

おっしゃる通り。首都圏や関西の上位校に行けるけど、経済的に行けない学生が地方国立で留まるわけです。

安田

そういう学生さんって、就職した後も地元に留まりたいと思わないんですか?

石塚

生活費次第ですよね。寮があるとか住宅補助とかを出せば「え。マジですか」みたいな感じで来てくれます。

安田

地元にはあまりいい就職先がないってことですか?

石塚

地方って定番の就職先上位ランクがありまして。1に地方公務員、2に地方銀行、3に地元の大手企業っていう。優秀な学生って大体まずここに決まるわけですよ。

安田

安定はしているけど、あまり面白い会社のイメージがないですね。

石塚

そうなんですよ。だから採用力のある会社なら、都心のレッドオーシャンで奪い合うより地方大学を狙った方がはるかに楽です。

安田

なるほど。

石塚

基本みんな真面目で素直だし。東京水準の給与をつけてあげたらもうイチコロじゃないですか。地方企業が出せる給与って今でも20〜21万が多いので。

安田

そうなんですね。

石塚

それが現実ですよ。30万円を超えて提示出来る会社はインパクトあります。

安田

知り合いの会社が北海道で初任給30万円出してますけど。いくらでも人が来るって言ってました。転勤もあるのに。

石塚

そりゃ来ますよ。北海道で初任給30万ってトップクラスですもん。

安田

地方学生にアプローチするにはどうしたらいいんですか?地方での説明会ですか。

石塚

まずはオンラインで地方の学生と接点を持って、こちらが行ってもいいし、お金を払って来てもらってもいい。

安田

来てくれますか?

石塚

彼らもいろんな会社を見たいんですよ。ただ移動と宿泊の費用を出せないから動けないだけで。

安田

そこを負担してあげれば来てくれると。

石塚

はい。交通費や宿泊費はかかりますけど、東京で採用するよりよほど楽だと思います。

安田

東京はもうレッドオーシャンだって、石塚さんもいつも言ってますもんね。

石塚

とくに23区は凄いですよ。まともな20代なんて中小企業ではまず採れない。

安田

地方まで出向けば質の高い20代を採るチャンスはあると。

石塚

もちろん職種にもよるし、業界にもよるんですけど。東京で採用やるよりよっぽどいいと思います。とくに新卒にこだわる企業さんは絶対に狙い目ですよ。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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