地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第95回 晩ご飯を「趣味」にする生き方

昔ほど朝の出勤時間が早くなくなったのが大きいですね。今は犬の散歩に行って帰ってきてもまだ時間がある。そこで妻がちゃんと朝ご飯を作ってくれるので、それを一緒に食べる。妻を安心させるために食べているというか、コミュニケーションの一環でもあります。

完全に「給油」ですね(笑)。そういえば、燃料補給すらしない「1日1食」という健康法もありますよね。南雲先生というお医者さんが提唱されていたりしますが。

健康のために意図的にやったことはないですが、忙しすぎて結果的にそうなってしまう時期はありました。確かに痩せますけど、痩せすぎてしまうのも良くないなと感じていて。ある程度肉付きがあった方が長生きするとも聞きますし。

ああ、聞いたことがあります。マラソンも実は体に負担がかかりすぎていて、健康のためには「走る」より「歩く」方がいいと言われたりしますし。人間は構造的に長距離を走るようにはできていないけど、歩くことに関しては動物界でもトップクラスらしいですね。

まさにそうです。実際、夜ご飯は僕にとって完全にエンターテイメントですね。夜だけは「何を食べるか」も大事だし、お酒と一緒に「その時間を楽しむ」ことが目的になります。朝と昼にはその感覚が皆無なんですが、夜は別腹ならぬ別次元というか。

そうなんですよ。放っておくと、食卓がハンバーグやカレーに占拠されてしまう。でも僕は夜にお酒と合うものをゆっくり楽しみたい。だから最近は、子どもたちのご飯とは別に自分用のつまみをこそこそと作ったりしています(笑)。

いいですねえ(笑)。私も子どもが小さかった頃はカレーの日とか絶望してましたよ。「カレーは飲み物」なんて言いますけど、お酒のアテにならないし、15分で食事が終わってしまう。あの「夜の楽しみ」が奪われる虚無感といったら…!

わかります(笑)。だから僕は、家族に「カレーでいい?」と確認しつつ、自分だけは買ってきた刺身や、作りたい料理を用意して一人で晩酌を楽しんでいます。「パパだけズルい」と言われないように、「食べる?」と聞くんですが、子どもたちは渋いおつまみなんて欲しがらないので、結局独占できる(笑)。

本当にそうです。以前、安田さんが「趣味は晩ご飯だ」と仰っていたのを聞いて、心から共感しましたから。人生最大の楽しみと言っても過言ではないです。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















