第120回 貯め込んだお金に高額な税金? 「ブレーキ禁止法」とは

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第120回 貯め込んだお金に高額な税金? 「ブレーキ禁止法」とは

安田
私は最近、「お金持ちってどうして生まれるんだろう」ということを考えていまして。

鈴木
へぇ〜また面白いことを考えてますね(笑)。ちなみに結論は出たんですか?
安田
「お金持ち」というのは「高速道路の渋滞」のようなものじゃないかなという考えに至りました(笑)。事故とかで起こった渋滞じゃなくて、日常的に起きている渋滞のことですけど。

鈴木
いわゆる「自然渋滞」ですね。坂道やトンネルの入口で誰かがちょっとブレーキを踏む。するとそれがどんどん連鎖していって、結局大渋滞が起こると。
安田
そうそう。つまり「ブレーキ」が渋滞の原因になるわけです。それと同じで「お金持ち」は、ブレーキを踏んでお金の流れを止めているからそこにお金が貯まっているんじゃないかと。そういう理論に行き着いたわけです。

鈴木
なるほど、面白い(笑)。ということは、ブレーキを踏む=お金を貯めるのは、安田さんとしてはよくないんじゃないかということ?
安田
ええ。だから例えば「稼いだお金は1年以内に100%使わなければいけない」というルールがあったらどうなるだろうと。

鈴木
は〜、要はお金をストックしておけないってことですね。
安田
そうそう。お金をストックしているとどんどん金利が高くなって、3年ですべて消失してしまう、とか。もしそんなルールが世界共通でできたとしたら、世の中どう変わると思います?

鈴木
そりゃあ、お金の価値が今ほど高いものではなくなるんやないかな。
安田
ですよね。絶対に貨幣価値が暴落するだろうと私も思います。ただね、そもそもお金の価値は「どんなものとでも交換できる」ということなわけですよ。そう考えると、お金自体を溜め込むのってどこかおかしい行為なわけで。

鈴木
ふ〜む、確かに。よく言う「あの世にはお金は持っていけないよ」ってやつですよね(笑)。
安田
そうそう(笑)。お金を使えば何らかの物や体験が得られますし、使ったお金で相手も潤う。そうやってみんながお金をどんどん使えば、世の中がどんどん良くなっていく気がするんですよ。でもあんまりそういうことをする人はいない。

鈴木
確かに日本人って、たくさん稼いでいる人もそうでない人も、総じて貯金することが好きな気がします。…いや、貯金が好きというより、将来が不安だから使わずに貯めておこうと考える人が多いのかもしれない。
安田
そうなんですよ。今、日本人の貯蓄総額って1500兆円くらいあって、これは国の借金額を上回る額なんですって。でもみんなが日本の将来を憂いて「ブレーキを踏む」ことでお金が流れていかず、そのせいで国が豊かにならないとも言えるわけで。だからこそ「ブレーキ禁止」がいいんじゃないかなと(笑)。

鈴木
は〜、なるほど(笑)。強制的にお金を使わざるを得ない状況にしてしまうということですね。
安田
そうそう。とは言え「お金を使う=世の中が潤う」わけなので、たくさん使えば使うほど、結果的に自分の収入もどんどん増えていくとも考えられる。そうしたら皆が豊かになると思いません?

鈴木
理屈上はなりそうですね。でもそれを国民が受け入れるかどうか…(笑)。
安田
「ブレーキ禁止法」なんて作ったら、国民は反対しますかね?(笑)

鈴木
絶対反対だと思います(笑)。そもそも貯金をするのって、不安だからですよ。未来に何があるかわからないから、せめてお金だけは用意しておく。それが突然「貯金は禁止」って言われたら、不安が激増しちゃうじゃないですか。
安田
まぁそうですよね(笑)。ただ私が1番疑問なのが、今の税金の仕組みって「使った瞬間」や「稼いだ瞬間」に税金がかかってくるじゃないですか。

鈴木
確かに消費税は買い物と同時に引かれますし、所得税住民税は有無を言わさず給料から天引きされていますね。
安田
ですよね。だから私はそういう税金をゼロにすればいいと思うんです。その代わり、使わなかったお金に対してものすごい高い税金をかけると。

鈴木
ははぁ、なるほど。要は1000万円稼いだ分は丸々手元に入るけれど、そのうち使わずにストックしている金額分に対して税金を払いなさいよ、ということですね。そうなったら、みんなこぞって使うでしょうね(笑)。
安田
ですよね(笑)。まあその「使う」ということについて、どの範囲までを許可するのかという課題はあると思いますけれど。例えば「投資」も使ったことになるのか、とか。

鈴木
あーなるほど。モノの価値が落ちづらいもの…例えば金とか宝石なんかを買って「使った」ということにして、それを後々に換金するような人も出てきそうですからね。その辺りのルール作りは難しいかもしれない。とは言え、そこさえクリアできれば、経済がどんどん回っていくような気がしますね!
安田
そう言っていただけて嬉しいです(笑)。たくさん稼いでたくさん使っても、税金はかからない。ただし、貯めておくとめちゃくちゃ高い税金がかかります。これが私の考える「ブレーキ禁止法」というわけです。

鈴木
なるほどなぁ。やっぱり「人間の体」とか「水や空気」なんかと同じで、滞っている状態は良くないですもんね。循環・巡りが大事。それはきっとお金も同じことが言えるんだろうと思います。
安田
仰るとおりです。税金のカタチを変えるだけで、国のカタチも大きく変わるんじゃないだろうかと私は思いますね。

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

1件のコメントがあります

  1. 苫米地英人さんが同じようなことを言ってますけど、できるだけ早く実現できるといいなあ。

感想・著者への質問はこちらから

CAPTCHA