第126回 「人口減少」が日本に新たな強みをもたらす可能性

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第126回 「人口減少」が日本に新たな強みをもたらす可能性

安田
以前の対談で、日本の人口が半分くらいになっても意外とうまくいくんじゃないかっていうお話をしましたよね。

鈴木
しましたね。僕らが死んだ後の日本について、いろいろ考えました(笑)。
安田
そうそう。で、あれ以来私もいろいろ考えていたんですが、やっぱりうまくいきそうな気がするんです。日本は戦争で負けて、経済でも負けて、未来設計ビジョンでも負けて…と、海外に対して全敗なんだけど、そもそも日本人ってポテンシャルがすごく高いんですよね。

鈴木
そうですね。基本的にみんな真面目ですし、サービスなんかもすごく細部までこだわりますもんね。
安田
ええ。だからね、今の「全敗」の状況が限界までいったら、逆に目覚めるんじゃないのかなと思ったんです。昔、戦争で負けた後に急激に経済が伸びた時みたいに。

鈴木
ははぁ、なるほど。
安田
それで、今は北欧諸国とかブータンが世界一幸せな国だって言われてますけど、数十年後には「世界一幸せな国は日本」なんて言われているのかもしれないなと。

鈴木
それ、あり得るかもしれない! というのも僕は以前から思ってるんですが、日本って島国で独自の文化がしっかり根付いている割に、意外と外の文化もすんなり受け入れられちゃうんですよね。多様性を受け入れるのが得意な人種と言うか。
安田
同感です。宗教にしろ思想にしろ、なんでも受け入れられる懐の深さがありますよね。そういう意味でも、実は「幸せを感じやすい」んじゃないかと。こうしてガンガン人口が減っていく時代には、そういう気質が非常に有利に働くような気がするんです。

鈴木
確かに確かに。懐深く現状を受け入れて、新たな幸せを見出せそうな気がしますね。それに個人的にも、人口が減る=すべて悪いこと、とも思えないんですよ。逆に得られるものもあるんじゃないかなと。
安田
ああ、確かにね。それこそ今までのインフラとか財産を少ない人数で使えるようになるわけで。一人ひとりの生活という意味では、もしかしたら豊かになっていくかもしれない。

鈴木
そうそう。でね、それってビジネスや会社経営も同じだと思うんです。人が減っていけば、無理に事業拡大して売上や利益を上げ続ける必要もだんだんなくなっていく。結果、目の前にいる少ないお客さんを全力で喜ばせることにシフトしてくんじゃないかな。稼ぎも食べるのに困らない程度でよくなって。最悪、物々交換でもいいよ、みたいな(笑)。
安田
いいですね〜。いわゆる「商い」が復活してくるのかもしれないですね。そもそも人口減少って日本だけじゃなく、世界的な動きじゃないですか。世界中の先進国が少子化問題に頭を抱えているわけで。

鈴木
ある程度の豊かさになったら、人間が減っていくというのは、ある意味で「自然なこと」なんでしょうね。だからこそその変化に併せて「幸せ」のあり方もアップデートしていかなければならない。
安田
本当にそうなんだと思います。そしてそういうアップデートは、実は日本人はすごく上手なはずなんですよ。

鈴木
確かになぁ。「人口が減った世界で幸せに生きる方法」について、日本がロールモデルになれる可能性があるというわけですね。
安田
そういうことです。そもそも今でも、海外から見た日本って、どこに行ってもサービスはいいし、ご飯も美味しいし、安全だし、最高な国じゃないですか。だからそのうち「なんだかんだ言って日本が一番幸せな国なんじゃない?」って言われる日がくるんじゃないかと。

鈴木
「目指せ、北欧」「目指せ、ブータン」じゃなくて、「目指せ、日本」という時代がくると。いや〜いいねぇ。ぜひそうなってほしい(笑)。
安田
なれると思いますよ。世間的には人口が減ることが危機だ、みたいに煽られてますけど、私はむしろ「新たな豊かさ」を作れるチャンスだと思っていますから!

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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