第146回 日本の農業の未来や、いかに

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第146回 日本の農業の未来や、いかに

安田
以前の対談で、「農地を相続するのがいかに大変か」ということについて教えていただきましたよね。とは言え「規模はそこまで大きくなくていいから自分で農業をやってみたい」という人にとっては、農地付きの物件って需要があるんじゃないかと思ったんですよ。

鈴木
うーん…どうやろなぁ。そもそも「農業をやりたい」っていう人がどれくらいいるのか…。
安田
そういう人、あんまりいないイメージですか?

鈴木
…うん、いないと思います(笑)。
安田
でもほら、最近は田舎に移住するのもちょっとしたブームになっているみたいですし、中には「農家を継いでもいいよ」っていう人もいるかもしれないじゃないですか。そういう人に対して「農地がセットになった空き家」に特化して仲介するビジネス、流行りませんかね?

鈴木
うーん、正直難しい気がしますね。その「移住ブーム」自体にも僕はちょっと懐疑的で…。テレビとかでよく耳にしますけど、実際はそんなに増えている気はしないんですよ。結局、大部分の人は都心部に流れていると思うんですよね。
安田
確かに東京の人口は増加傾向らしいですね。

鈴木
でしょ? そもそもイチから農業をやるなら、それなりに若い世代じゃないと厳しいと思うんです。でもそういった若い世代は、将来的に子どもの教育面や医療面を考えた時に「やっぱり都心部の方が充実しているよね」となるんじゃないかなと。
安田
なるほどなぁ。じゃあ外国人向けに売るのはどうです? 日本で農地を持って、農家として生きていってもらう、みたいな。そちらの方がニーズは高いですかね?

鈴木
アイディアとしては面白いですけど、それもうまくいくイメージはあんまりないかもしれない。というのも、日本の農地って海外のように広大じゃないから、効率が悪いんですよ。
安田
あぁそうか。アメリカの農家みたいにめちゃくちゃ広い農地で大量の穀物を育ててたくさん売って儲ける…みたいなことは、日本ではほぼ不可能ですもんね。

鈴木
そうそう。そういう意味でも「日本の農家=儲からない」というイメージがついてしまっていて、若い世代にしろ外国人にしろ、積極的に農業をやりたがる人はどんどん減っていくのかなと。
安田
なるほどなぁ。…うーん、じゃあどうしたらいいんでしょうね。鈴木さん、なんかいいアイディアありません?(笑)

鈴木
そうだなぁ…農地と空き家をセットにするにしても、それを1軒ずつ売らない方がいいのかもしれないですね。そういう空き家を全部かき集めて「〇〇ビレッジ」みたいなものを作って、そのエリア全体として入居者を募る、とか。
安田
お〜それは面白い! ぜひ『相続不動産テラス』でやってみてください(笑)。それにしても、日本の農家がもっと儲かる仕組みに変えていけないものですかね。

鈴木
うーん、そもそもスーパーで売っているお米や生鮮食品が安すぎなんですよ。かといってキャベツや人参のような日常的な野菜を高くするにも限度がある。
安田
確かにギフト用のフルーツのように「付加価値」をつけないと、値段を高くするのは難しいでしょうね。

鈴木
仰るとおりです。前にも言いましたけど、岐阜の「龍の瞳」っていうお米はプレミアムブランドになっているのでかなり高く売れるんですよね。だからこうやって、農家さんも自分たちが作る農作物をうまくブランディングしていければ、高くても買ってくれる人はたくさん出てくると思います。
安田
ブランディング、大事ですよね。というか私は、もっとJAが先頭に立って、農作物をより高く売れるようにしたり、農家を育てる体制を整えたりすべきだと思うんです。ちゃんと「農家として儲かる仕組み」を作り上げないと、日本の農業人口はどんどん減り続けてしまいますよ。

鈴木
同感です。もっと真面目に農家さんたちが稼げるためにどうすべきか考えてほしいですね。ちなみに岐阜でも農業をやる人はどんどん減っていて。でも農地って放っておくとすぐに荒れちゃうので、地主さんが「タダでもいいから耕して」って若手に託すパターンも多いんです。…若手っていっても、僕らくらいの年代なんですけど(笑)。
安田
なんと! 50代60代で「若手」ですか(笑)。とにもかくにも、日本の農業の行く末については、今後も定期的に鈴木さんと深堀りしていければと思います。

対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

感想・著者への質問はこちらから