第148回 「争続」にしないために、生前からできることとは

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第148回 「争続」にしないために、生前からできることとは

安田
今日は「相続」について深堀りしていきたいと思います。相続って「争続」なんて字を当てはめることもあるくらい、揉めることが多いじゃないですか。やっぱり遺産が大きいほど遺族間の争いって増えるもんですか?

鈴木
いや、実はそうでもなくて。2,000万〜3,000万円くらいの中途半端に残った時が一番揉めやすい気がします。
安田
へぇ、そうなんですね。それってなぜなんですかね。大金持ちと違って忙しいから、生きている間に準備をしていないとか?

鈴木
それもあるんでしょうけど、根本にあるのは結局「人間関係」ですよ。相手を思いやれる心の余裕があるかどうか。だからこそ、大きな資産を持っている人の方が揉めづらいのかもしれません。
安田
なるほどなぁ。ちなみに『のうひ葬祭』さんでは、相続の相談なんかにも乗っていただけるんでしょうか?

鈴木
そうですね。ご自身の終活についてご相談にいらした方で、そのままご葬儀のことだったり相続のことだったりをお聞きになる方も多いです。正直、お話を聞いている段階で「この家族は揉めそうだな〜」ってなんとなくわかったりもしますよ(笑)。
安田
え、本当に?!

鈴木
「ウチは家族仲もいいし、遺言書なんて書かなくても大丈夫だよ〜」なんて言ってる方でも、「お子さんたちは毎年帰省されてます?」とか「ご兄弟は近くにお住まいなんですか?」とか聞いていくと、「いやぁ…それは…」ってだんだん歯切れが悪くなっていく(笑)。「俺の家族は仲がいいんだ」と思いたい気持ちもわかりますけどね。
安田
なるほどなぁ…じゃあ尚更、親は生きているうちに遺言書をしっかり書いておく方が良さそうですか?

鈴木
実はそれも難しい問題なんですよ。というのも、遺言書がきっかけで新たに揉める可能性があるので。「なんで兄貴の方が配分が多いんや!」とかね(笑)。
安田
あぁ…それはよく聞くパターンだ(笑)。どうにかして「自分の死後に揉めてしまう可能性」を事前に数値化できないもんですかね?(笑)

鈴木
それは無理でしょう(笑)。ただ1つ言えるのは、亡くなってからでは遅いということ。「故人」になる前に、自分から話を切り出すべきだと思いますね。
安田
なるほどなるほど。確かに子ども側から「父さんが死んだ後のことなんだけど…」なんて話すのは相当難しいですもんね。

鈴木
でしょ? だから親主導で話を進める。ある程度元気なうちから、「俺が死んだ後にお前たちが困らんように、先に決めておこうか」って言って子どもたちに集ってもらえばいいんですよ。
安田
それいいですね。じゃあそういう場では具体的にどんなことを話し合えばいいですか?

鈴木
一番は「実家をどうするか」でしょうね。昔だと、家は長男に遺すのが普通だったかもしれませんけど、今はそういう時代でもない。「誰か住みたい人はいる?」って聞いて、誰も手を挙げなければ、自分の代でしっかり処分方法を検討するのがオススメです。
安田
なるほど。そうやって家や土地を売って現金化すれば、分配するのも簡単になりますし。

鈴木
そうそう。…ただそれは、あくまでも「売れたら」の話。問題になるのは、誰も買ってくれないような家や土地の場合なんですよ。結局それが「負債」となって遺族にのしかかり、「争続」へと発展してしまうわけです。
安田
遺族間で負債を押し付け合う…まるでババ抜きじゃないですか!(笑)

鈴木
本当やね(笑)。そういう面も含めて、自分の代で不動産を整理をしておくことが必要だと思いますよ。
安田
なるほどなぁ。そういえば、どうしても売れない土地って国に返すこともできませんでしたっけ?

鈴木
ありますよ。「相続土地国庫帰属制度」っていうんですけど。ただこれ、なかなか審査が厳しいらしくて…。
安田
え、審査なんてあるんですか?

鈴木
そうなんですよ。売れないような価値がない土地は、国もいらないよってことなんでしょうけど。しかもね、審査してもらうのにもお金がかかる。だから変な話、お金を払って審査してもらったのに「国に返してくれなくて結構です」ってハネられちゃったら、そこでおしまい(笑)。
安田
えー、そんなの審査料の出し損じゃないですか! そう考えると、土地なんて持たない方がいい気がしてきますね。山とか持っているのも素敵だなぁなんて思っていたけど、全然そんなことなさそうですね(笑)。

鈴木
そうやね(笑)。自分が死んだ後に揉めてほしくないんだったら、流動性の高い土地以外には手を出さない方が賢明でしょう(笑)。

対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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