この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第28回 人生の成功とは、北極星のようなもの。
第28回 人生の成功とは、北極星のようなもの。
そろそろ人生の終盤に差し掛かってきたこともあって、最近よく「人生の成功」ってなんだろうなぁって考えているんですよ。
哲学的なことを考えていらっしゃるんですね（笑）。そう考えるきっかけでもあったんですか？
きっかけというほどでもないんですが、自分の人生になにかしらの物足りなさを感じるようになってきて。このまま死んでいってもいいんだろうかと思い始めたんです。
ほぉ、なるほど。死ぬ間際になって「果たして自分の人生は成功だったといえるのか」と思ってしまうんじゃないかって？
まさにそうです。それでね、そもそも「成功」ってどういう状態なんだろうと考えてみたわけです。鈴木さんは、どう思われます？
うーん、そうだなぁ。「何かを極めた」という状態じゃないかな。
あぁ、なるほど。私はね、実はそれ、逆なんじゃないかって思っているんです。
え？ 極めてはダメということですか？
ええ。「極まらないこと」が人生の成功なんじゃないだろうか、と。
極めきってしまわないことが成功なんですか？ うーん…わかるような、わからないような…（笑）。
一生涯かけても極められないことを見つけて、ちょっとずつ経験を積んでいく。すると長い目で見れば、わずかながらも成長している実感が持てますよね？ それが人生の充実＝成功につながるのかなと思うんですよ。
あぁ、なるほど。常に成長し続けられる状態が、安田さんの仰るところの「極まらない状態」というわけですか。
そうですそうです。別に私は今の生活には不満も不自由さも感じていませけど、なんとなく刺激がない。で、それってきっと「死ぬまで極め続けたい」と思えるコトやモノに出会えてないからじゃないかって思うんです。
死ぬまで極め続けたいことかぁ。要は、追い求めていてもキリがないモノを追いかけたいということですよね。僕もそういう対象はまだないなぁ（笑）。
私と一緒ですね（笑）。
でも今のお話で思い出したことがあります。ちょうど先日「パーパス経営」について学んでいたときに、パーパス（目的）を「北極星」に置き換えて考えるといいって。北極星には手が届かないけれど、そこを見ていればずっと方向を間違わないでしょ、と言われたんです。
あぁ、素晴らしい。会社経営だけでなく、人生経営にも繋がりますね。
ですよね。「北極星」を人生の目標にしてずっと追い続けていく。それって先ほどの「極め続けたいこと」と似ていませんか？
確かにそうですね。なるほど、北極星か。すごくわかりやすい例えかもしれない。ちなみに鈴木さんには「北極星」のヒントは見えています？
そうだなぁ。具体的にコレ、というものはまだないですね。でも、自分の人生をかけて、なるべく多くの人を喜ばせ続けたいという想いはありますよ。
それはビジネスを通じて出会った人たち？
ええ。実は最近始めた「相続不動産テラス」の事業は、昔からの付き合いがある宅建士の友人が大きく協力してくれているんです。
その方って確か、鈴木さんに昔いろいろと助けてもらったから、今度は自分が鈴木さんを助けたいと仰ってたご友人ですよね？
そうです。10年以上も前に僕からアドバイスを受けて助けられたと。だから恩返しをさせてくれって。僕自身はそんなに大それたことをしたつもりなんかなかったんですけど（笑）。
でもそういうのって、やってもらった方はいつまでも覚えているもんですよ。
そうみたいです（笑）。だからこの友人のように、僕がしたことで喜んでいる人がどんどん増えるのは、すごく嬉しいかもしれませんね。
鈴木さんが80歳くらいになった時、「鈴木さんに助けてもらったおかげで、今の自分があるんです！」という人がたくさん集まってくる。それは鈴木さんにとって「成功した人生」だと思えそうですか？
うん、たぶん思えるんじゃないかなぁ（笑）。安田さんはどうですか？ 何を極め続けていきたい？
私の場合はやっぱり商売ですかね。世の中に対するインパクトが大きくて、かつ、ちゃんと儲かるビジネスを仕掛ける。これは一生をかけてやっていけそうかなと。
確かに、新しいビジネスを考えることってずっと追い続けられる目標になりそうですね。
ええ。これが私の北極星だと言えるのか、はたまた別の北極星が見つかるのか。60歳頃までにははっきりさせたいと思います（笑）。
おぉ、60歳だともうすぐじゃないですか！ ぜひ頑張ってください（笑）。
対談している二人
安田 佳生（やすだ よしお）
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク（BFI）代表。
