第37回 その空き家、ワンストップで売却できます。

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第37回 その空き家、ワンストップで売却できます。

安田
鈴木さんの会社で去年から新しくスタートした『相続不動産テラス』ですが、こちらでは相続した空き家の解体だけでなく、売却するお手伝いもしてくださるんですよね。

鈴木
ええ、基本的にまだ住める状態であれば販売を目指しています。
安田
たしか以前のお話の中で、「絶対売れないだろうって思っていた空き家が売れた」と仰っていましたよね。あれはそもそも、なぜ売れないと思っていたんですか?

鈴木
ロケーションがネックでした。岐阜県川辺町という人口1万人くらいの小さな町にポツンと建つ物件だったんです。家の目の前に、山がどーん、みたいな(笑)。
安田
これぞ田舎、といったイメージですね(笑)。

鈴木
そうですそうです。土地だけで230坪くらいあったかな。で、家屋、離れ、車庫、それから畑と農機具小屋もありました。築年数は60年くらいだったと思います。
安田
じゃあ古民家みたいな感じですか? お家の中に囲炉裏があったりして。

鈴木
いやいや、全然。古民家のような魅力はなし。ただの田舎の古い家でした(笑)。それを200万円で売ろうとしたんですよ。
安田
200万円! それだけの広い土地で、しかも家屋や小屋もついてくるなんて、めちゃくちゃ安くて良い物件に見えますけど。

鈴木
実は僕もその町内に住んでいるんですが、あまり魅力的ではなかったですね。地元の人ならみんなそう言うんじゃないかな(笑)。
安田
ということは、購入された方は地元の人ではなかったんですね。

鈴木
ええ。名古屋近郊に住んでいる方でした。
安田
そもそもその方は、どうやって川辺町の物件を見つけられたんでしょう。

鈴木
行政がやっている「空き家バンク」というサイトに物件情報を載せていたので、そこから検索して見つけてくださったそうです。各市町村ごとに空き家を掲載しているサイトなんですが、国交省のサイトからまとめてみることもできますよ。
安田
そんなサイトがあるとは。掲載料はどれくらいかかるんでしょうか。

鈴木

それが無料なんですよ。掲載料だけでなく、現地まで行って物件の写真を撮りに行ってくれたり、サイトにアップしてくれたりするのも全部、町の職員さんがタダでやってくれて。

安田
へぇ、良心的なんですね。

鈴木
町としても、空き家のまま朽ち果てていって周囲から苦情がくるより、誰かに住んでもらうほうが助かるじゃないですか。住んでもらえば町に税金も払ってくれるし。だから積極的にサポートしてくれるんですよね。
安田
なるほどなぁ。しかも行政が管理しているサイトだったら、購入を検討している側としても安心や信頼がありますね。問い合わせ対応や内見なんかも町が代行してくれるんですか?

鈴木
いえ、そこは僕らのように仲介業者が担当します。要は、行政のサイトが窓口となって「購入者」と「業者」をつないでくれるという仕組みです。このおかげで3件も問い合わせがありました。
安田
へぇ。どんな方々が連絡してきたんですか?

鈴木
1組目はお子さんがいる30代のご夫婦。鶏が飼いたいとかで広い敷地の家を探していたそうです。そして2組目は、姉妹で工房をやっている方。作業場やアトリエのように使える場所を探していらっしゃいました。で、3組目が、最終的に購入してくださった定年後のご夫婦ですね。
安田
みなさん地元の方ではなかったんですか。

鈴木
ええ。3組とも全然バラバラのところからいらしてましたが、みなさん、都会の方の方でしたね。
安田
ということはきっと、その田舎に自分たちの住んでいる場所にはない魅力を感じたんでしょうね。

鈴木
まさにそうなんですよ! 特に姉妹でいらしたお2人は、現場に到着するなり「このロケーション、最高!」、家の中に入ったら「うわぁ、この窓のすりガラス、可愛い〜!」と、何かにつけて感動してくれていました(笑)。
安田
鈴木さんたちにとっては特に珍しくもない場所なのに(笑)。

鈴木
笑。何を魅力に感じるのかは、本当に人それぞれ違うんだなぁと痛感しましたね。
安田
なるほどなぁ。ちなみに購入された方は、もうそこを拠点に暮らしていらっしゃるんですか?

鈴木
いえ、今はまだ都会に住みながら、セカンドハウス的に使っているようですね。畑仕事したりDIYでリフォームしたりしながら、定年後の時間を有意義に過ごされているみたいです。
安田
そう考えると、中古物件の売買って難しそうですけれど、日本中、いや世界中でたった1人でも欲しいという人がいれば成り立つんですよね。いかにその空き家の魅力をアピールしていくか、というのがビジネスのカギになりそうです。

鈴木
私もそう思います。それにしてもこの物件が売れた時は、僕が一番驚きましたけどね(笑)。
安田
笑。相続した空き家の活用方法で、何か他にも考えられていることはありますか?

鈴木
実は今後おもしろくなるんじゃないか、と思っているのが、外国人への販売です。美濃加茂市ってブラジル人が多くて5000人くらいのコミュニティーがあるんで、その方々に物件を紹介しようかなと。
安田
ほぅ。現在日本に住んでいるブラジル人に、ということですね。

鈴木
ええ。古くてボロボロの家でも問題ないから、物件を紹介して欲しいって言っているらしいんです。狭いアパートに住んでいる方とかが、趣味などのためのセカンドハウスを探しているようで。
安田
へぇ、そうなんですか。とはいえ、あまりにボロボロな家だと、買ってもすぐに住めないと思うんですけど…。

鈴木
ブラジルの方たちって、友達を集めてみんなで一緒に時間をかけながら家を直していくのが当たり前らしくて。古くて安い物件を購入して、自分たちで手を加えながらリノベーションして住みたいんだそうです。
安田
なるほど。じゃあ今、相続した物件を手放したいと思っている方がいらしたら、鈴木さんにご連絡すればいいですか?

鈴木
そうですね。誰がどこでどんな物件を欲しがっているのかは本当にわからないので。「こんな家売れないよ」と決めつけず、まずは「相続不動産テラス」まで相談ください。鍵さえ預けてもらえれば、その後の全ての手続きは全部代行いたしますので。
安田
岐阜近辺で相続した空き家に困っている方、ぜひこちらまでお問い合わせください!

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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