第207回 ダメな上司・良い上司

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/ダメな上司・良い上司

先週、某大手さん「2年目フォローアップ研修」での、「ケース討議」を紹介しましたが、そちらの会社さんの「管理職座談会」にもお邪魔しました。

新人が配属されている職場のマネジャーたちが集まり、「新人の現状・関わり方」などの共有、「良い事例・困っている事例」について意見交換が行われていましたが、

社内講師が運営なさっていた「ケース討議」を紹介したいと思います。「ネガティブ事例、ポジティブ事例」の2つが紹介されていましたが、いずれも職場での状況は同様。

こんな状況設定が用いられておりました。

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とある大手で働く「マネジャー・上田さん」は、「新人・新田さん」が仕事に慣れていないことを理解していました。新田さんは最初の数週間で何度かミスを犯し、自信を失いかけていました。ある日、上田さんは新田さんを呼び出しました。
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① 上司と新人の会話(ネガティブ事例)

上司:おつかれさん。先日までとりかかっていた仕事だけど、正直どうだった?

新人:あまり楽しくはなかったですね。何かワクワクするような新しいプロジェクトを任されたいです。

上司:新しいプロジェクト?君はまだそんなに経験もないし、それよりも今の業務に集中した方が良いと思うよ。

新人:でも、新しいことに挑戦したいですし、成長もしたいんです。

上司:成長、成長って言っても、君はまだ何も証明していない。君がやりたいことをやるには、まだ経験値が浅すぎるんだよ。

新人:どの程度の経験を積むと良いんでしょうか。

上司:まずは、私の指示に従って、懸命に業務に集中することだよ。君にはまだその経験が足りていない。成果を積み上げてほしいな。

② 上司と新人の会話(ポジティブ事例)

上司:新田さん、ちょっと話があるんだ。なかなか思うように仕事を経験できていないようだけど、最初のうちはみんなミスするし、それは仕方ないことだよ。

新人:すみません、上田さん。もっと頑張ります。

上司:いやいや、焦らなくていいんだ。実は、私だって最初は何度もミスして、失敗してきたんだよ。それが仕事を覚える過程さ。

新人:本当ですか?

上司:ああ、本当だよ。だから、小さなミスは気にしないで良い。それよりも、些細なことでも質問してくれると助かるよ。私が手伝えることは何でも手伝うからさ!

上記のケースについて、あれやこれやと意見交換が行われておりましたが、

社内講師のまとめでは、

①ネガティブ事例

このようなコミュニケーションは、新人との信頼関係を損ね、新人のモチベーションを低下させる可能性があります。上司は柔軟性や成長を促進する姿勢を見せることが大事です。新人が自らの興味や能力を発揮できるような環境を提供しないと、生産性向上や定着率向上に悪影響を与えかねません。

②ポジティブ事例

お互いを「さん付け」で呼び合えるように取り決め、新人に寄り添う姿勢を提示することで、新人も安心してチャレンジができます。上司が自らの失敗談を共有することで、新人も不安や悩みを打ち明けられるようになります。新人が仕事に慣れていく過程を見守りながら、アドバイスやサポートを惜しまずに関わりましょう。

みなさま。「まさか!」と思われるかもしれませんが、実際に、このようなケース討議がおこなれている大手さんも存在しております。。

もはや、「単なる大手」というブランドだけでは若手を繋ぎ止めることなど不可能なようですが、、

大手にもはっきりとした二極化が訪れているのです。。

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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