泉一也の『日本人の取扱説明書』第11回「キャラの国」

元に戻すと、日本がキャラの国となったのは、この気候、風土、自然環境が関係している。四季折々の豊かな風景に自然の幸、鳥に魚に虫に多様な生物がうじゃうじゃいる。地震に台風に洪水に噴火と自然災害も溢れている。そんな多様性の中で、陽のキャラも陰のキャラもたくさん生まれた。その陽の代表が八百万の神、陰の代表が妖怪。神と妖怪のキャラにあふれ、それがビックリマンチョコにゲゲゲの鬼太郎、妖怪ウォッチ、ポケモンに通じている。

キャラの国をリアルに戻すには、人をキャラ化すればいい。ネットの世界や変装の世界で終わらせるのではなくリアルの世界でキャラを際立たせる。画一キャラの仮面をとって、その中にあるキャラを引き出す。画一キャラの仮面が顔の肉と一体化している場合があるので、カサブタがとれていくように、新陳代謝を高めながらゆっくりと外して行く。新陳代謝の高め方は、簡単である。キャラが立っている人たちとの出会いである。そのキャラ立ちした人は観光資源であり、教育資源である。

一般的に、マスターといわれる師匠は変態が多い。常識にとらわれず、我が道をいくがその道を極めている。そういったキャラ立ちした人たちは、常識人が嫌いでもあるので、うまく会わせるような場が必要である。ワンピースやポケモンのように、旅の中で出会っていく仕掛けである。

今、人・プロジェクト観光という事業をスタートアップしているが、変態性あふれた道を極めた人たちを訪ね回るという事業である。画一化されたツアーはもう飽きられている。バスツアーが極端に減っている。もう見飽きたからだ。それよりも、キャラ立ちした人たちとの出会い。そこで自らのキャラが見えてくる。そういった旅がこれから流行るだろう。

「会社の人材をキャラ立ちさせたい」と考えるなら、画一化教育はすっぱりやめて、社内のもっとも変態性が高い社員の人脈にいるキャラ立ちした人たちに協力をあおぎ、人・プロジェクト観光をすることである。

 

著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

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