第72回 商流の「両端」を押さえることが生き残りにつながる

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第72回 商流の「両端」を押さえることが生き残りにつながる

安田

今日も商品開発に関連して、特に中間業者がどのように生き残るかについてお話してみたいと思います。


渡邉

日本は世界的に見ても商流が複雑だと言われてますよね。卸業者や中間卸、小売まで多くの中間業者が存在している。

安田

そうそう。今まではそうやって商売が成り立っていたわけです。でも最近では中間業者が儲からなくなってきているんですよ。


渡邉

確かに、商流の両端、つまり商品を作るメーカーと、最終的に商品を販売する販社だけが利益を上げている気がします。価格競争が激しくなったこともあるんでしょうけど。

安田

ランリグさんの「その道のプロ」のように、商品力がすごく高ければそれだけで売れていくんですけどね。


渡邉

そうですね。大手のハウスメーカーさんからお問い合わせをいただく機会も増えてきたので、ありがたいです。

安田

そうやってほっといても2000万、3000万の売上が上がるような人がいれば、メーカー側としては価格の主導権を握ることができる。逆に「この金額では受けられない」なんてことも言えるわけで。


渡邉

一方で、ジャパネットたかたさんのように、売れなさそうな商品でもある程度売っちゃう人もいますよね。それくらい顧客をガッチリ掴んでいるというか。

安田

そうですね。要するに、顧客をしっかり掴んでいるか、オリジナルの商品を持っているかのどちらかなんだと思います。どちらも持っていたら最高ですけど。


渡邉

仰るとおりですね。その中間みたいな状態が一番厳しいんでしょう。

安田

そうそう。単なる中間業者や御用聞き的なビジネスモデルは、これからますます厳しくなっていくと思いますよ。


渡邉

建築業界でも、建材の仕入れなどで間に問屋さんが入ることが多いんですが、「利便性が高い」とか、「最新機器を導入している」とか、明確な強みを持っている会社さんは儲かってますね。逆に、単に右から左に流しているだけの問屋さんは価値を感じてもらいにくくなっている。

安田

そうでしょうね。あとは「規模が大きい」というのも価値の一つですよね。流通量が多いとか、種類が豊富とか。そこでさらに1個から届けてくれるとなったら、多少高くてもそこから買おうと思いますからね。結局のところ、価格を高くできるかどうかがポイントなので。

渡邉

ええ、本当に。そういうサービスができるところは多くないので、希少価値も高いですし。兎にも角にも、他社ができないことをどこに作るかですよね。USP(ユニーク・セリング・プロポジション)という言葉も耳にしますけど。

安田

そうそう。それに真面目に取り組まず、単に目利きのようにタイミングよく儲かる商品を仕入れて売るようなビジネスは、これからの時代どんどん厳しくなっていくでしょう。オリジナル商品を作る「商品開発」と、お客さんと直接つながっている「直販体制」の二つが必須になっていくと思います。


渡邉

確かに。うちも建築業界以外にターゲットを広げようかと悩んだ時期もありましたけど、今は業界に特化した中で商品開発に力を入れていこうと思ってます。

安田

絶対にその方がいいと思います。ランリグさんは「業界に特化している」ことが大きな強みですから。建築業界の中での立ち位置が絶妙ですもんね。


渡邉

ありがとうございます。最近は特に「業界内で実績のあるプロ人材」が集まってきてくれています。

安田

それはいいですね! 建築業界って医療業界と少し似ているというか、閉鎖的な部分がありますもんね。


渡邉

確かに参入障壁は高いですね。先日リフォーム産業フェアという展示会に出展したんですが、数年前に比べるとIT系の会社の出展も増えていて。ただ、いきなりポンと入ってきてもなかなかリーチできていない印象でしたね。

安田

ああ、そうでしょうね。とはいえ商品単価も高いですし、ぜひ参入したい業界ではあるわけですよね。ランリグさんがその橋渡しに特化するのもいいんじゃないでしょうか。


渡邉

確かに! 顧客との接点はあるので、直販体制はできてますし。その橋渡しをオリジナル商品にできたらさらに強みになりますね。


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

Facebook

1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから