住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。
第86回 転職時代に経営者が選ぶべき「転〇〇」とは?
これから人口減少が進む中で、これまでは給与があまり上がらなかった「言われたことをちゃんとやります」というレベルの人たちでさえ、転職をすれば給料が右肩上がりになっていくと思うんです。企業側も人不足で採用に必死ですから。
ああ、確かに。建築業界を見ていても、若い世代を中心にその傾向が出てきている気がします。
そうですよね。今はまだ20〜30代が中心ですけど、さらに人不足が深刻になれば、40代が次々に転職する時代もそう遠くないんじゃないかと。
同感です。転職が社員にとって「年収をアップさせる手段」になっていくんでしょうね。
そうそう。収入を上げたければ、どんどん転職すればいいわけです。ただ、それができるのは雇われている社員さんで、社長はもっと稼ぎたいと思っても「転職」なんてできないじゃないですか(笑)。
それはそうですね(笑)。社長が転職なんて聞いたことがないです。他の会社に就職するとしたって、今の会社はどうするの? って話になるし。
そうなんですよ。でも社長は転職ができない代わりに、「仕事を変える権利」や「事業を始める権利」がある。例えば明日からラーメン屋をやってもいいし、東京でやってるビジネスを全然別の地域に持っていったっていいわけで。
ああ、確かにそうですね。つまり事業をガラッと変えたり、新しく始めたりできると。
そういうことです。実際、ビジネスモデルもエリアも変えて大成功した社長もいますから。この方の場合、もともとはゲームとかフィギュアなど男性向けのマニアックなリユースショップだったんです。そこから「家族で遊べるアミューズメントショップ」に方向転換して。
へぇ、ターゲットから大きく変えたわけですね。ちなみに場所はどの辺でやってたんですか?
ずっと仙台でやってらして、最近はそこから北海道でどんどん新店舗も出してます。どのお店も大盛況みたいで、今や従業員数も1,000人規模になって。
すごいなぁ。そんな大所帯で変革するなんて、並大抵のことじゃできないですよね。
そうなんです。でもその方曰く、「ゼロからビジネスモデルを作るくらいの覚悟でやらないと、この変化の時代は乗り越えられない」と。
なるほど~。「うちの業界は」とか「うちの地域は」なんて言ってる場合じゃないぞと。
そうですよ。これからの経営者は転職ならぬ「転業界」「転地域」も当たり前、というくらいの覚悟が必要でしょうね。今と全く違うビジネスをゼロから組み立てて、かつ今の10倍も20倍も儲かる方法を考えないといけないわけで。
昔は「新規事業をゼロから生みだすなんてチャレンジャーだな」なんて思われてましたけど、これからはもうそれが必須だということですよね。
中小企業で「10年前からずっと同じ業界で同じビジネスモデルを続けてます」なんて、軒並みアウトでしょうね。
確かになぁ。社長自身も常に変化し続けられるような柔軟な感覚を持っていないと、だんだんと変化についていけなくなるんでしょうね。
そう思いますね。ちなみに私の最近の変化でいうと、これからの残りの人生のテーマを決めたところでして。「日本人の平均年収を中央値で1000万円にする」という。ここに関わるビジネスしかしないぞ、と決めたんです。
へぇ、そうなんですか。確かに平均年収1000万円を目指すべきだといつも仰ってましたもんね。
そうそう。日本全体としても、そこは外せないテーマだと思うんです。私が日本全体の平均年収を上げることまではできませんけど、自分に関わるすべての人たちが年収1000万円になるように取り組んでいこうと思ってまして。
なるほど~。今はまだ大きな目標のような気がしますけど、いずれは当たり前になるんでしょうね。「完全週休2日制」だって今は仕事を探すときの最低条件みたいになってますけど、最初に大手がやり始めた頃は皆「うちでは無理無理」っていう感じでしたし(笑)。
そうでしたね(笑)。それでいうと、ヨーロッパではさらに進んで「完全週休3日制」の実験も始まっているらしいですよ。しかもめちゃくちゃ生産性が上がるみたいで、平均して売上が35%伸びてるらしいです。
へぇ〜、そうなんですか。そこまで行くと「過労」なんて発想もなくなるんでしょうね。
そうでしょうね。しっかり休んで、もっと短い時間で儲かる仕組みを考えて利益を上げていく。これからのビジネスモデルを考えるにしても、「完全週休3日制×平均年収1000万円」から逆算していかないといけない。
これからどんどん若い人が新しい会社を作っていきますし、外資も入ってくることを考えると、あり得ない話じゃないんだろうなぁ。
日本人って真面目だし教育もしっかり受けているので、基本的に優秀なんですよ。だから外資も日本で工場を作ったり、ホテルを作って日本人を雇ったりするわけで。
ああ、確かに。外資は儲かるビジネスモデルを作るのがうまいというか、お金に換えるのがすごく上手なんですよね。高い値段でも堂々と売ってますし。コストコが出店すると、近くのアルバイトの人たちが皆、コストコに移ってしまうなんていう話もありましたね。
そうそう。IKEAにしてもAmazonにしても、軒並み近隣のバイトの平均時給を上げてますからね。今の事業からマイナーチェンジして、どうにか儲かるビジネスにしようという発想では、太刀打ちできるわけがない。
とはいえ、なかなか頑なな人もいますよね。業界や地域に縛られているというか、「ここじゃないとダメ」って思いこんでいるような。
それはもう、儲かっているうちに早めにM&Aをするか、若い人に代変わりすることをおすすめしますね。
対談している二人
渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役
1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。