押してもダメなら

押してもダメなら引いてみる。
という言葉は誰もが耳にしたことがあるだろう。
引き戸は押しても開かない。
押して開かなければ引いてみる。
それでも開かなければ鍵がかかっている。
あるいは何かに引っかかっている。

原因を取り除けばドアはスムーズに開くのである。
ドアだけではない。
たとえば瓶のフタも回す方向を間違えたら開かない。
あるいは家具の組み立ても同じ。
図面通りに組み立てているはずなのに部品が入らない。
こういう場合は何かを間違えているのである。

入れる部品が違うのか、
入れる場所が違うのか、入れ方が違うのか。
入らないはずの部品を無理やり力ずくで入れてしまう。
引き戸なのに無理やり力ずくで押し開いてしまう。
するとどうなるか。ドアも部品も壊れてしまう。

力を入れなきゃ動かないものは
大抵やり方を間違えている。
押してもダメなら引いてみる。
右に回して動かないなら左に回してみる。
入れる場所や部品が間違っていないか
もう一度確かめてみる。

正しいやり方でもう一度やってみれば、
びっくりするほどスムーズに
ものごとは動き出すのである。
にも関わらず多くの人はこれをやらない。
逆方向に回し続けてネジ山を壊してしまう人。
無理やりねじ込んで部品を壊してしまう人。
そういう人が非常に多い。

いま一度高らかに宣言したい。
力を入れないと動かないものはやり方を間違えている。
正しい方向に進んでいる時ものごとはスムーズに動く。
人生も社会もビジネスもそのようにできているのである。
決して無理な力を加えてはならない。

一生懸命頑張っているのに業績が上がらない。
広告を打ちまくっているのに集客ができない。
限界まで時給を上げても人が来ない。
それはやり方を間違えているからである。
ピカソに野球をやらせてはならない。
絵を書くならグローブではなく
筆を持たなくてはならない。

冷静に考えてみれば簡単なことである。
いや、そもそも物事は簡単なのだ。
難しくしているのは自分自身。
強引に押し続けても引き戸は決して開かない。
押してもダメなら引いてみればいいのである。

なぜ自分は仕事ができないのか。
なぜこんなにストレスが溜まるのか。
なぜ社員はやめてしまうのか。
なぜ顧客は増えていかないのか。
すべての物事には理由がある。
頑張らなくても成果が出る。
ストレスがたまらない。
それは引き戸をきちんと引いているから。
決して必要以上に力を入れてはならない。

 


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