仕組み化のその先

標準化、マニュアル化、システム化。
言い方はいろいろあるが、
目指しているものはひとつである。
特定の誰かに依存せず、
常に同じパフォーマンスを発揮する。
そういう仕組みをつくりあげること。

仕組みの精度を競い合い、
より高いパフォーマンスを
発揮する組織が勝ち残っていく。
それが現在に至る企業経営の大きな流れである。
あまりにも長期間、
あまりにも大きな流れであったため、
そこに疑問を持つ経営者はほとんどいない。

だがその常識は大きなうねりによって
飲み込まれようとしている。
仕組み化の終焉。新たな企業経営の始まり。
それこそが今、私たちが直面している課題なのである。
人に依存しない仕組みは真似がしやすい。
行き着く先は価格競争による寡占化。
小さな企業の淘汰である。

大企業に選択の余地はない。
世界で数社しか生き残れない価格競争を
勝ち抜いていくしかない。
問題はその他大勢の中小企業である。
小さな会社が大きな会社に価格競争を挑むことは
自殺行為である。
では競争から脱するにはどうしたらいいのか。

答えは簡単である。
標準化やマニュアル化の真逆に振り切ること。
すなわち特定の誰かへの依存強化である。
これまでの流れと逆行する会社。
それは多くの経営者にとって
想像しがたいものかもしれない。

だが近い将来そのような会社が増えていき、
やがては社会の一大勢力となるだろう。
集客も、商品開発も、納品も、
一人ひとりがバラバラにやっていく。
そんな非効率な組織が成り立つものかと、
常識的な経営者なら考えるだろう。

だがその常識はもはや前時代の常識なのである。
あらゆる業界で個人化への逆流が起こる。
一人ひとりが情報を発信し、自分の見込み客をつくり、
自分のオリジナル商品を販売する。
ひとりしか食えないニッチな仕事。
ニッチな商品。

大きくならない代わりに、
ひとりだけなら割とリッチにやっていける。
当然のことながら大きな会社は、
そのようなニッチなマーケットを取りにこない。
来たとしても取りようがない。
なぜならそれは究極的に人に依存した商品だからである。

そうなったとき会社の役割は激変する。
集客も、商品開発も、納品も自分でできてしまう。
そのように自立した人がそれでも集まりたくなる場所。
自分が得意なことだけに特化させてくれる、
これまでの常識とは真逆の会社。
個人の特性を徹底的に引き出す会社が、
新たな常識となっていく。

 


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