人を選ぶ会社になろう

会社が存在する目的は何なのだろう。価値あるビジョンの達成か。社会的なミッションのクリアか。それとも利益を上げ続けることか。こう並べると「金のため」とは言いにくい。しかし多くの会社が利益目的で存在していることは事実である。そもそも利益が出なければ社員に給料を払うことすら出来ない。

金儲けが目的であると公言する会社は少ない。なぜなら賛同が得られないから。まずマーケットからそっぽを向かれる。「儲けのことばかり考えている会社からは買いたくない」と敬遠される。社員や求職者からも白い目で見られる。「金儲けしか考えない経営者の元では働きたくない」と見限られてしまう。

顧客も社員も自分勝手なものである。「とにかく安く提供しろ」「とにかく給料を上げろ」と金ばかり要求してくるくせに、社会性や夢のあるビジョンを経営者に求めたりする。ではそのぶん価格を上げてもいいのか?報酬を下げてもいいのか?と尋ねれば、それはまた違う話だと詰め寄られてしまう。

価値あるビジョンや社会的なミッションを会社の前面に押し出さざるを得ない。本音ではひたすら利益を追求していたとしても。だがこの歪な二重構造にヒビが入り始めている。マーケットも社員も「本物」を求め始めているからだ。上辺だけのブランドがもう通じなくなっていく。

利益が目的なのか。あるいは利益は手段でしかないのか。経営者は真剣にこれを考えなくてはならない。利益しか考えていない経営者の元からはどんどん人が離れていく。本気でビジョン・ミッションに人生を賭けている経営者の元に人が集まって来る。お飾りの理念ではもう飯が食えないのである。

「ビジョンやミッションで飯が食えるか」と本音では思っている。そういう経営者はもう時代遅れなのだ。完全に自流に取り残されている。取り巻きの幹部以外はもはや誰もついてきていない。その事実を受け入れるべきだろう。では金ばかり要求してくる顧客や社員には金を払わなくてもいいのか。

本気でビジョン・ミッションを追いかけるなら方法はひとつ。人を選ぶことである。金ばかり要求する人には売らない、雇わない。ビジョン・ミッションに共感してくれる人だけを仲間にしていく。人を選ばない会社は人から選ばれない。理想なき会社はひたすら金を配り続けるほかないのである。

 

 

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