赤い出口、青い出口 第24回「稼いだお金の出口はどこ?」

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第24回 稼いだお金の出口はどこ?

いま、個人の時代と言われ、お金を稼ぐのは比較的、簡単になっています。
それに合わせて、副業やフリーランス、独立を考える人も増えているとのことです。

「あの人年収1000万円稼ぐらしいよ」
「副業で稼ぐのはどうしたらいいのでしょうか」
「稼げる業界を教えます」
世の中の人は「稼ぐ」ことにとても熱心です。
収入がいくらなのかは、仕事ができるという一種の指標としてとらえられます。ネット上では稼ぎが多い人はあがめられ、少ない人は肩身が狭いです。

多くの会社員が経験したと思うのですが、周りの評価と地位と給料は、イベントごとに変化していきます。昇進する、結婚する、子供が生まれる、部下を持つ、転勤する。
大体年齢とともに、評価はあがり、給与と地位も上がっていきます。
それに連れて周りからの待遇も変わり、呼び捨てから君づけへ、あだ名からさんづけへ。
能力が高いから地位が上がるのか、呼び名が変わったから給料が上がったのかよくわかりません。ただし、給与と肩書とがある程度リンクしているシステムは、収入はすぐには上がりませんがよくできています。

【使うことにこそ意味がある】

しかし、このシステムには重要な落ち度があります。
「使う」視点が、抜けているのです。

会社システムにどっぷり浸かると、「稼ぐ」ことにしか目がいかなくなります。
手にするのが、自分のためのお金(給料)に細分化されているからです。

「稼ぐ」ことは、人生にとっての目的にはなりえません。
誰かの協力なしには稼げないですし、その協力を手にするためには、誰かに協力しなければならないからです。
ということは、副業や起業をするのなら、「使う」視点はとても重要です。
稼いだお金をどう使うのか、自分にとっての意義ある使い方を意識する必要があります。

逆に、中小企業のオーナーは、「稼ぐ」よりも「使う」ということにフォーカスされている場合が多いです。
オーナーにとっての「稼ぎ」は、会社の売上を指します。10億円の売上で、3000万円の利益を出している会社は、9億7000万円を社長が使うことになります。逆に言えば、9億7000万円を上手に使って、10億円を稼いでいます。
そして稼ぎの大半は、自分以外の人のために使います。仕入れに始まり、社員が心地よく働くための設備投資や給料、将来への投資、社会のためなど、どのように使うのが良いかを、決めるのが社長の大きな仕事です。
いくら稼いだということよりも、なんのために使うのかが重要で、それが社長の自己表現であり、一番の醍醐味でもあります。

【お金に意思をのせる】

中小企業の社長の例を考えると、稼ぐ行為には意味があるでしょうが、稼いで得たお金には意味がないのがわかります。お金はただの記号でしかありません。
その記号に、自身の意志をのせて使ってこそ、商売やビジネスを自分の手でやっていく喜びを手にできるのです。
自分以外の他人や社会のために、お金を使っているのですから。とても気持ちのよい行為です。

世の中には、稼ぐ方法や副業の始め方、会社の作り方などの情報が溢れています。
もし、副業やフリーランス、独立するのであれば、「稼ぐ」ことよりも、なんのために稼いだお金を「使う」のかを考えるのが重要です。
稼ぐということに一生懸命になりすぎると、エゴの塊になってしまいます。
稼いだお金の出口を決めることが、働く喜びを得る手段だと気づいてほしいのです。

 


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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