日曜日には、ネーミングを掘る ♯117「置き換える技術」

今週は。

人に何かを伝えるのは難しい。

対象が「新しさ」を含んでいる場合、
難易度はさらに上がる。

江戸時代の人に
スマートフォンの説明をしても
おそらくはちんぷんかんぷんだろう。

ネーミングの対象は、
何かしらの新しさを伴っていることが
ほとんどなので、
この仕事をしていると、
伝えることの難しさによく直面する。

そんなときは、その新しさを、
なるほどね!と思える
既存のイメージに置き換える必要がある。

たとえば、いま担当している案件に
とある人材系企業が運営している
就職カレッジがある。

一般的な就職カレッジは、
未就業者を対象に履歴書の書き方や
面接の仕方など一般常識を教える
ケースがほとんどであるが、

そのカレッジのユニークな点は、
入学対象を一般的な進学・就職ルートから
外れた“はみだし人材”に絞り、
彼らに「商品開発」と「集客」に関する
実践的なノウハウとスキルを
徹底して教え込むところにある。

商品開発と集客に絞っているのは、
これからの時代に必須でありながら、
これまで通りのやり方が
通用しない分野であるため。
だからこそ、従来の価値観や常識に
染まっていない白場の人材であることが
必要なのだという考えに基づいている。

カレッジでは、
彼らを(大変失礼な言い方になるが)
消費される人材ではなく、
中小企業のこれからを支える
パートタイムブレーンとして
送り出そうという計画を立てている。

たしかに、
余力のない中小企業が、
上記のような能力を持った人材を採用し、
育成するのは難しい。

面白い試みであるとは思う。

しかし、この価値を、
中小企業の経営者に伝えるのは
なかなか至難の業である。

ここで、置き換え技術の出番。

何かイメージしやすい置き換えは
できないものだろうか。

辿り着いたのが、

カレッジの卒業生=ビタミンC

という考え方だった。

ビタミンCは、
血液や目の水晶体などのサビを
とってくれるほか、
草臥れたビタミンEを
元に戻してくれるなど、
未来をつくる栄養素と言われている。

ところが、このビタミンC。
体内ではつくることができず、
食事やサプリメントを通して
外部から摂取しないといけない。

カレッジが養成する人材は、
まさに中小企業(体内)にとっての
ビタミンCの役割を果たすわけである。

人に何かを伝えるのは難しい。
伝わらなければ理解されることもない。

無数の商品やサービスが
日々生まれるこの世の中では、
良い商品やサービスでありながら、
消えていくものがたくさんある。

これらのなかには、
置き換えがうまくできていかなったがゆえに
というものが案外多いのではないだろうか。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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