変と不変の取説 第21回「人間の境目、命の境目」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第21回 「人間の境目、命の境目」

前回第20回は「日本人の境目」

安田

豚の体の中で「人間の臓器」が培養できるようになったの、知ってます?

いえ。

安田

合法化されたそうです。

できる可能性があることは知ってましたが、 実現してさらに合法化までされたんですね。

安田

合法化されたっていうニュースを見ました。

へえ〜

安田

人間の遺伝子を組み込んだ豚の卵細胞を、豚の子宮に戻して育てると、人間のすい臓をもった子豚が出てくる、みたいな。

ついに合法化しましたか。

安田

ただ、その子豚どうしの子どもをつくるのは、禁止されてるらしいんですけど。

そうでしょうね。

安田

だんだん人間っぽくなって行ったら、怖いですもんね。

怖いですよ。ちょっと人間らしい目つきの豚とか。

安田

でも「どこからが人間なのか」って言われたら、どうですか?

臓器は人間ですからね。

安田

たとえば、すい臓だけじゃなくて、ほとんどの内臓が人間で、入れ物だけ豚みたいになったら、これ、どうなっちゃいますか?

でも脳は、豚の脳なんですよね?

安田

そうです。脳みそは豚のまま。

じゃあ豚なんじゃないですか。

安田

豚ですか。決定するのは、脳みそですか?

脳みそは、かなり関係してると思いますけど。

安田

その根拠は?

サルと人間の脳みそは、ぜんぜん違うので。

安田

どのぐらい違うんですか?

大脳新皮質というか、前頭葉とかも大きさがはるかに違う。サルにはあまりない。

安田

つまり人間の方が、頭がいいってことですか?

「言葉を操って思考ができる」ということは、思考によって「自我が芽生えている」という状態なので。

安田

動物には自我がないと?

ほかの動物は「自分で自分を認識できない」はずなんです。言葉をもってないので。

安田

ちなみに、ダーウィンの進化論では「突然変異」と「自然淘汰」なんですけど。

はい。知ってます。

安田

進化して、良くなるとは限らないんですよね?

たまたま突然変異で「首が長い」とか「足が短い」とかが生まれて、たまたま環境に適応した種が生き残っていく。

安田

ですよね。じゃあ、人間の前頭葉の大きさも、たまたまってことはないですか?

突然変異ってことですか?

安田

たまたま突然変異で、前頭葉が大きくなって、頭が良くなった。

進化論で言えば、そうですね。

安田

じゃあ、たまたま突然変異で、頭がいい豚が生まれてきても、不思議ではない?

いや、豚はないんじゃないですかね。

安田

どうしてですか?

豚からだとあまりにも、ジャンプがでか過ぎるんですよ。

安田

ジャンプ?

「サナギマン」から「イナズマン」に変身するみたいに、知能をもつためには「サルのベース」が必要だった。

安田

なかなかマニアックな事例を出してきましたね(笑)。サルの状態からでないと変身できないと?

他の動物だと、違いが大きすぎる。

安田

脳がちっちゃいってことですか?

脳が小さいし、手足が動かせるとか、体つきが二足歩行しやすいとか。

安田

それで言ったら、カンガルーなんて最初から二足歩行ですよ。

カンガルーですか!?

安田

直立できるし、ボクシングだってできますし。道具は握れませんけど。

カンガルーが突然変異して、知能をもつっていう?(笑)

安田

まあ、カンガルーとは言いませんけど。もうちょっと人間に近いサルがいたって、不思議じゃない。

「突然変異で」ってことですか?

安田

そう突然変異で。いても不思議じゃないでしょ?もっと人間に近いサルみたいなのが。

まあ、いても不思議じゃないですね。

安田

そうなったら、どうなるんですか。人権みたいな「サル権」みたいなものが与えられるんでしょうか?

「猿の惑星」みたいに?

安田

そう。猿の惑星みたいに。

私はダーウィンの「突然変異理論」は、あまり信じてないので。

安田

え!信じてないんですか?

はい。

安田

じゃあ、何を信じてるんですか?

私は「必然的にできてる論」ですね。

安田

必然的?

宇宙ができたときから「知能を持った動物が生まれるように」プログラムされている。

安田

そんなの信じてて、よく京都大学に合格できましたね。

サルはサルの最終形態で、人間は人間の最終形態なんですよ。

安田

最終形態?

それぞれのプログラムに沿って、ちゃんと進化してきて、多様性をつくり出してる。

安田

じゃあ、サルがいくら進化しても、知能は芽生えない?

人間とサルは別物です。

安田

人間は人間になるべくして、進化してきたと?

人間は知能を持った人間になるべくして、進化してきた。その道をちゃんと辿ってきたっていう。

安田

でも肉体的には、元はサルだったんでしょ?

サルもどきのところから進化してきたと思うんですけど、そこから別れた。

安田

分かれるべくして、分かれた?

そう。チンパンジーは分かれて、チンパンジーという最終形態に向かう。で、あれ以上は進化しない。

安田

もう進化しない?人間も?

人間もこれ以上進化しない。動植物はすべて最終形態にいるんじゃないかと思ってます。

安田

ということは、何十万年前はサルと大して変わらない時代も、あったんですか?

あったんじゃないですか。

安田

そこから知能が進化してきたってことですか?

はい。枝分かれして、一方はとんでもなく知能が進化した。

安田

なぜ人間だけ、こんなに知能が飛び抜けてるんですか?

そこだけは、ジャンプしてますよね。

安田

なぜ、そこだけジャンプしてるんですか?

いろんな理論あります。宇宙人が来て「遺伝子が組み合わさったんじゃないか」とか。

安田

宇宙人の遺伝子?

はい。だから遺伝子操作の技術が発達したら、動物も知性を持つかもしれません。

安田

脳みそに変化が起こると?

起こるかもしれません。

安田

ちなみに、人工培養の皮膚みたいに、脳みそを人工培養したら、自我とか意思を持つんですか?

臓器っていうのは命がないので。

安田

脳みそにも命がない?

ないですね。コンピューターで言えば、電源が入ってない状態。

安田

どうやったら、命が宿るんですか?

無生物から生物はつくれない。臓器はつくれても、生命体はつくれないんですよ。

安田

有機物をつくれないってことですか?

有機的なものはつくれますけど、命を吹き込むことができないんです。

安田

「命」って何なんですか?

だから、そこが謎なんですよ。

安田

じゃあ、皮膚ができて、心臓ができて、胃袋ができて、脳みそができて、ぜんぶ生きてるんだけど、命はないってことですか?

はい。命はつくれないですから。

…次回へ続く…


場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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