変と不変の取説 第32回「大人が教えるべきこと」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第32回「大人が教えるべきこと」

前回、第31回は「ゆたぼんと義務教育」

安田

ゆたぼん君に関しては、両親が結構責められてまして。

ああ、そうでしたね。

安田

子どもは、まだ何も分からないだろうと。泉さんは「もう目覚めてる」って言ってましたけど。

私にはそう見えますけど。

安田

でも一般的な大人の意見は、「子供はまだ何も見えていない」「学校行かないと大変なことになる」「それを教えるのが親の務めだ」みたいな感じ。

そういう意見が多いですよね。

安田

はい。でもご両親は「いじめとか関係なく、『行きたくない』という気持ちを大事にしたい」って言ってるんですけど。どう思いますか?

親は子どもの直感を信じてるんじゃないですか。私は動物的本能だと思うんですよね。

安田

動物的本能?

海に住んでた生物が陸に上がろうとしたら、親たちは「おまえ死ぬからやめとけ。ハードやぞ。死ぬぞ」と止めるじゃないですか。

安田

そりゃあ、止めますよね。

「海に帰ってこい。海のほうが幸せやで」って普通の親は言う。「おっ、じゃあ応援するぜ」ってやってるのが、あの両親。

安田

なるほど。でも、それって海から陸に上がって大成功する可能性もありますけど、死んじゃう可能性もありますよね。

もちろんあります。それが冒険というものですから。

安田

たとえば車の多い道路でサッカーやって遊んでたら、ひかれて死ぬかもしれないじゃないですか。

はい。

安田

それを「危ないよ」って止めるのとは違うんですか?「分かりきってる危険は止めないとあかんやろ」っていう世間の論調ですけど。

そうすると守られすぎた子どもになってしまう。彼は「冒険が大事だ」って言ってるんですけど、動物って冒険して進化していくんですよ。

安田

守りすぎるとどうなるんですか?

進化が止まる。

安田

ずいぶん長い間止まってますからね。

はい(笑)

安田

「企業が変わって、大学が変わって、最後に子供教育が変わる」って泉さん言ってたじゃないですか。

はい。そういう順番でしょうね。出口が変わらないと教育は変わらない。

安田

ああいう子が出てきたら、「小学生が先に変わっていく」なんてこともあり得るんですか?

彼は小学生を変える力はないと思います。大人を変える力はあるかもしれませんが。

安田

小学生は変える力はありませんか。

たぶん普通の小学生は、彼の言ってることがほとんど分からないと思います。

安田

「学校はやっぱ行っといたほうがいいと思います」っていう優等生的な小学生ユーチューバーもいて、その子の方が同世代からは支持されてますね。

ゆたぼんは大人向けだと思いますよ。私は。

安田

小学校の中では浮いちゃうタイプ?

小学校の中では「ああいうやつ、おるよな」みたいな。でも、本質はよく分かってない。

安田

分かってませんか。

なんでやってるかとか、言ってる意味とか、分からないと思います。

安田

どういうイメージなんですかね。同級生から見たら。

「最近YouTube流行ってるからやってるんかな」「俺らは学校行かんと」ぐらいにしか見えてないんじゃないですか。

安田

「学校行かないのは百歩譲っていいとしても、だったら家で勉強しないとダメだ。YouTubeやってどうすんだ」っていう人が多いんですけど。

アウトプットをしようと思ったらインプットが必要になってくるんですよ。ネタが切れるから。

安田

どういうことですか?

アウトプットするために、自然と調べたり学習するようになるってことです。アウトプットが先なんですよ。

安田

なるほど。ということは、彼は順番としては間違ってない?

間違えてないです。

安田

YouTubeでガンガン発信していくと、言うことがなくなってきて、「そもそも学校って、なんでできたんだろう?」みたいなことを自分で勉強し始めると。

そうです。

安田

素晴らしいじゃないですか。

素晴らしいですよ。学校ってインプット主体じゃないですか。

安田

ですね。

アウトプットはテストしかない。

安田

でも常識とか集団行動とかは、学校でしか身につかないって言われてますけど。

学校の中の常識とか集団生活って、むちゃくちゃ偏ってますよ。

安田

確かに。偏ってますよね。

異常ですよ、あれは。

安田

「あれが集団生活だ」って思ってる大人が、ものすごく多いってことですよね。

そうなんです。私も小学校の授業を何回かやったことあるんですけど。

安田

おお!そんな経験があるんですか。

「90分やらしてください」って言ったんですけど「無理です。うちの生徒は90分も集中できません。」って言われました。

安田

で、どうしたんですか?

「いや、大丈夫ですよ」って言って、やってみたんですけど。

安田

興味深いですね。

はじめはグチャグチャなんですよ。で、だんだん集中し始めて、最後の80分ぐらいになったら、みんなめっちゃ集中して、90分終わったら「あっという間やった」みたいな。

安田

90分もったわけですね。

まあ、2人ぐらい「おしっこ」って言って出て行きましたけど。

安田

他の先生の反応はどうでした?

終わってから「いやぁ、うちの子ら、あんなに集中力あったんや」って言ってました。

安田

さすが泉さん。

じゃなくて、「先生がそういう場づくりができてない」ってだけの話なんですよ。

安田

どうやって場づくりしたんですか?

子どもたちをまず遊ばせるんですよ。体験させて「なんかようわからんけど、このオッサンなんか言ってるから、やってみるか」って、最初はグチャグチャ。

安田

ほう。それで?

で、やったあとに「いま面白かったやろ?なんでかわかる?」って問うんですよ。「実はこういうことを君らやったからやで」って言うと「ああ、そうなんや。へぇ」みたいな。

安田

なるほど。体験させて、自分で考えさせると。

そう。「っていうことは、これをもうちょっと意識してやったら、もっとおもろくなれへん?次やってみる?」みたいな感じで、どんどん体験して、学習して、体験して、学習して……って繰り返しやっていくんですよ。

安田

それで子供達はのってくるもんなんですか?

自分が成長してるというか、目覚めていく感覚がつかめるので、どんどん集中する。

安田

へえ〜。ちなみにその時は、何を教えたんですか?

そのときはコミュニケーションとか。

安田

小学生に!?

「仲間とどういうふうなコミュニケーションをしたらええの?」とか、あと「われわれの潜在意識って何?」とか。

安田

そんなものに興味を持ってくれるんですか?子供って。

はい。きちんと動機づけをしてあげれば。本当は「先生!宿題させてください!」というふうにもっていかないといけないんです。

安田

ということは、ゆたぼん君を「宿題やりたい!」という気にさせられなかった先生が悪いと。

いや、学校というシステムの問題ですね。言われたことを従順にやらせるっていう仕組みなので、先生はそういうことを求められてないんですよ。


場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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