変と不変の取説 第87回「人はウイルスを克服できるのか」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第87回「人はウイルスを克服できるのか」

前回、第86回は「国家戦略がないのはなぜ?

安田

泉さんのコロナ対応について聞きたいんですけど。

はい。何でしょう。

安田

私の場合は「人に迷惑かけちゃいかん」ってことで、マスクをするようになりました。

私もそうですね。自分の安全のためというより。

安田

でもいまは、どちらかというとクレーム対策みたいになってます。

分かります。マスクしないとすごい目で見られますもんね。

安田

マンションのエレベーターにも乗れなかったり。電車でも白い目で見られるし。昔は不審者がマスクをしてたイメージですけど。

逆になりましたよね。最近はマスクしてない人のほうが不審者っていう。

安田

そうなんですよ。でもちょっとやり過ぎじゃないかと思います。

日本人は真面目ですから。

安田

「菌をなくす」ぐらいの勢いで、除菌や殺菌をやりまくってますけど。ここまでやって「大丈夫なの?」って逆に心配になります。

そもそも我々の体の中には「1,400兆の菌がいる」って言われてますから。

安田

それは良い菌ってことですよね。

善玉菌もたくさんいます。

安田

そうですよね。だから殺菌しすぎたら「逆に危ないんじゃないの?」って気がするんですけど。

清潔になりすぎたから「アレルギーが増えた」という説もありますから。

安田

そうなんですか?

はい。じつは不潔な国のほうがアレルギーの子どもが少ない。

安田

とはいえ、ある程度の常識的な殺菌とか、清潔感とかは大事じゃないですか。たとえば泥水を飲んで大丈夫かっていうと、それで病気になる貧しい国もあるわけで。

バランスの問題ですね。

安田

いまは明らかに神経質な人が増えすぎてます。つり革つかめないとか。24時間マスクしてるとか。

神経質な人は前からいましたけど。コロナをきっかけに増えましたね。

安田

最近は国民全員がそっちに向かってるような気がして。

そうですね。外を歩いてる人も9割がたマスクしてますから。

安田

「コロナかかったら死ぬんで、家から出ません」みたいな若い子もいて。「大丈夫かな」って思っちゃうんですけど。やっぱコロナって撲滅するべきなんですか?

これは難題ですよ。

安田

難題ですか。

人間はウイルスを経験しながら進化してきた歴史があるので。人間の細胞全部にミトコンドリアという寄生が入ってるように、人類の進化に必要な気がします。

安田

「ウイルスがないと進化が起こらない」って言われてますもんね。

そうです。ウイルスが突然変異を起こすわけです。

安田

じゃあウイルスを撲滅すると進化が止まる?

外部から何かが侵食してくることで、体が変わっていくので。無菌にすると「衰えていくんじゃないか」って感じがします。

安田

日本中からアルコールや除菌液がなくなるぐらい、みんな消毒しまくってるわけじゃないですか。

しまくってますね。

安田

「日本人は普段から清潔にしてるから、コロナで死ぬ人が少ない」とか言ってる人もいて。どっちが正解なのかわからないんですけど。

程度の問題ですよ。

安田

そうですよね。考えてみたら納豆やチーズも腐ってるわけで。

人間も生物である以上、それを受け入れて生きていくしかないんですよ。

安田

じつは私、人間ドックが好きじゃないんです。「あらかじめ検査して予防しとけば病気にならない」という考えにすごく違和感があって。

私も10年ぐらい人間ドック行ってないですね(笑)

安田

たとえばBARやお寿司屋さんで「隣の席と2メートル離す」ってなると、もはやカウンターの魅力がなくなります。

そうですね。スウェーデンみたいに集団免疫をめざして「ゆっくりと浸透させていきましょう」という作戦もあると思うんですけど。それのほうが自然でしょうし。

安田

日本でそんなこと言ったら大パニックになります。

いまでも我々は風邪をひくじゃないですか。

安田

はい。

昔の人にとってはそれが新コロナで、いっぱい人が死んでた。だけど、それを乗り越えてきたので、ちょっと微熱が出るぐらいでおさまるように進化したわけです。

安田

それが自然なんですね。

ちょっとずつ体験して、だんだん進化していく。それが自然。

安田

たとえば新コロナを完全に撲滅できても、“新新コロナ”がまた出てくるわけで。

たぶん永久に出てきますよ。すべてのウイルスを地球上からなくさない限り。

安田

でも、すべてのウイルスを地球上から抹殺してしまったら、人間も死んじゃう気がします。自殺行為じゃないですか。

そうですね。地球上でこういうのが起こるのは、必要だからだと思います。地球全体でいくと最適解なのかなって。

安田

お亡くなりになった人の家族は、怒るかもしれないですけど。全体の10%が死んじゃって、90%の生き残る人がいて、その子孫に遺伝子が残って進化していく。

はい。それが生物の進化の歴史です。

安田

自然淘汰が起こらなくなると、逆に生物として滅んでいきそう。

野生の動物だったら、強いオスの子どもが自然に残っていきます。

安田

でも人間って、強い弱いじゃなく「みんな公平に“つがい”になる」のが正しいとされてる。本来だったら残らないような人の子孫もどんどん増えていく。

生物界の常識でいくと、どんどん質が落ちていく可能性があります。

安田

自然の摂理に反してると。

鳥インフルエンザとか豚インフルエンザとかも、家畜が増えすぎて「自然の淘汰システム」が働いてるんじゃないですか。

安田

なるほど。自然の摂理の逆襲ですね。

人間も増えすぎたので、淘汰システムが働いて「コロナが流行ってる」というふうにも考えられます。

安田

自然環境を守ろうとか言いながら、いちばん不自然な生き物ですからね。人間は。

はい。

安田

じゃあこれを克服しちゃうとどうなるんですか。自然の摂理に勝ってしまうとしたら。

何をもって勝ったというかですよね。自然淘汰が定期的に起こるのが正常な状態かもしれないので。

安田

じゃあコロナに打ち勝つことが逆に負けにつながるというか。

死なないようにしたがために、逆に「生物として弱くなっていく」というのはあり得ます。

安田

「何やってんだ」って話ですね。

ちょっとしたことで大病になったり。弱っちくなっていく可能性は大いにあります。

安田

いろんなウイルスや細菌を克服した後で、ものすごい細菌が現れるとか。

自然淘汰の流れからすればそうなりますね。

安田

人類の99パーセントぐらいが、一瞬にして死んでしまうようなウイルス。

それによって人類のほとんどが死んでしまうとか。大いにあり得ますね。


場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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