お医者さんは、なやんでる。 第2回 「電子カルテに断固反対するベテラン医師…」

第2回「電子カルテに断固反対するベテラン医師…」

お医者さん
お医者さん
せっかく電子カルテを入れたのに、内科のA先生はぜんぜん使ってくれない…。システム導入のとき、「電カルなんか邪道だ!俺は今まで通り全部紙でやるぞ!」って怒ってたもんなあ。
お医者さん
お医者さん
A先生はシステム担当の自分よりずっとベテランだし、院内での発言力も強い…。
お医者さん
お医者さん
とは言え、電子カルテは既に導入されてしまったんだし、どうにかして使ってもらわないと…。
新しいやり方を拒絶するベテラン医師か。あるあるですね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
…あなたは?
ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしています。
絹川
絹川
今のようなお話、いろんな病院で聞いてきました。悩ましいところですよね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
…そうなんです。僕が言ったところで効果は薄いでしょうし、どうしたもんかと。
ちなみに電子カルテを導入されたとき、「目的」について明確にお話しなさいましたか?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
もちろんです。電子カルテを入れることで情報共有がしやすくなるし、カルテ庫がいらなくなるからスペースも節約できるって。
なるほど。しかしいま仰ったことは、「目的」ではないのではないでしょうか。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
え?
情報共有ができることも、カルテ庫がいらなくなることも、本質的な「目的」とは言えません。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
どういうことですか?
ちょっと話は逸れますが、そのA先生、患者さんからの評判は高いんじゃないですか?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、そりゃあもう。本当に仕事熱心な先生で、患者さんからの信頼もすごいです。その点では僕も大変尊敬してますし。
やっぱり。きっとA先生は、システムが患者さんとの距離を生んでしまうんじゃないかと、心配されているんでしょう。
絹川
絹川
患者さんのためを思えば、これまでの「アナログ」なやり方のほうがいいと信じてらっしゃるんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
いや、むしろ電子カルテになれば、患者さんの詳しい状態を医師皆で共有できますし、カルテ庫のスペースを利用することで、診察室を増やすこともできる。
お医者さん
お医者さん
僕たちがもっと快適かつ効率的に診察できるようになれば、結果的によりよい医療が提供できるわけで、つまり今回のシステム化は、患者さんのためでもあるんです。
それです! それこそが「目的」です。システムを入れることで起こる具体的な変化ではなく、そもそも病院が「なぜシステムを入れようと考えたのか」を明確にすることが、実はとても大事なんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なぜシステムを入れようと考えたのか…。
「システムを活用することで、もっと患者さんのためになる医療が提供できる」という切り口で説明したら、A先生の反応も、少し変わってくる気がします。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうか…そうかもしれません。
システムを入れる目的を明確化し、それをしっかり現場の皆さんに共有すること。システム導入において、ここは外せない工程ですね。
絹川
絹川

第3回に続く

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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