泉一也の『日本人の取扱説明書』第15回「トラウマの国」

泉一也の『日本人の取扱説明書』第15回「トラウマの国」
著者:泉一也

このコラムについて

日本でビジネスを行う。それは「日本人相手に物やサービスを売る」という事。日本人を知らずして、この国でのビジネスは成功しません。知ってそうで、みんな知らない、日本人のこと。歴史を読み解き、科学を駆使し、日本人とは何か?を私、泉一也が解き明かします。

 

「トラウマというものは存在しない」

心理学者アドラーの言葉だが、トラウマとは目的を隠すためにあるという。本当はこうしたいのに、こうして欲しいのに、実現しないのは、できないのは・・・と原因探しをする心の反応。その原因が失意や失望などの心理的なショックと結びついたものをトラウマという。アドラーは、その原因探しの裏に『失敗したくないから・・傷つきたくないから・・』という「・・したくない」という目的が隠されているといった。

つまりトラウマは本音の目的を隠すための隠れ蓑になっている。だからアドラーはトラウマというものは存在しないとバッサリと切り捨てた。隠れ蓑をかぶっているうちは言い訳ばかりに意識がいき、本音の目的を知ることができない。その本音の目的を知った時、人は本来の目的を見つけて自分を生きはじめる。

日本は太平洋戦争の敗戦ショックというトラウマがあるから内向的で、自国に自信がない、だからトラウマを解消する必要があるという。しかしアドラーならこういうだろう。「トラウマという隠れ蓑に隠された本心の目的を知ることだ」。敗戦ショックという出来事を、ネガティブな状態の言い訳にせず、その本音の目的に目を向けてみる。そこには「自国に誇りを持ちたくても、へんな風に思われたらイヤだ」といった、「嫌われたくない」という目的が隠されていないか。つまり、嫌われたくないという目的が主体なのだ。嫌われる勇気といった本がたくさん売れているらしいが、まさに日本中「嫌われたくない」という目的で狭苦しく生きる人がたくさんいるということ。

「嫌われたくない」という目的で生きることにどのくらい意味があるのか。その目的をさわって、いじって、もんで、煮てさ、焼いてさ、食ってさ。してみたらわかるが、めちゃマズイ。嫌われたくないというのは、他人が主体となっているので、自分がそこにはいない。なんとも自分を粗末に扱う目的だろうか。発ガン性物質をワシワシ食っているようなものである。

その隠された本音の目的のまずい味を知ってしまったら、人は本来の目的を探し始める。「嫌われたくない」という本音を隠すための原因探しはもうやめ、やめ!もっと美味しくて健康にいい目的ってなんや!!!

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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