泉一也の『日本人の取扱説明書』第54回「ミーハーの国」

泉一也の『日本人の取扱説明書』第54回「ミーハーの国」
著者:泉一也

このコラムについて

日本でビジネスを行う。それは「日本人相手に物やサービスを売る」という事。日本人を知らずして、この国でのビジネスは成功しません。知ってそうで、みんな知らない、日本人のこと。歴史を読み解き、科学を駆使し、日本人とは何か?を私、泉一也が解き明かします。

日本にはシャイと甘えの文化がある、と過去のコラムでお伝えした。どの回かは忘れたが、読者の方が探してくれるに違いないと甘えておこう。このシャイと甘えから連想されるのは、子供っぽさ=「幼さ」である。

幼さは日本の文化。

 地方創生に「ゆるキャラ」はテッパンであるが、どう見ても子供向けキャラである。そのゆるキャラたちが全国津々浦々で自治体の顔になっているわけだが、そんな国は日本以外に見たことがない。

子供は可愛らしいものに惹かれる。ぬいぐるみに子犬に赤ちゃんに。子犬と赤ちゃんのキャラはいつの時代も子供に大人氣である。この幼さが可愛いものに惹かれる特性を「ミーハー」という。昔、「み」「は」から始まる女の子の名前が流行ったことから、みーちゃん、はーちゃんという呼び名が増えて、「ミーハー」という言葉が生まれたらしい。

このミーハー特性を利用した商売が「アイドル・ビジネス」である。日本人の「幼さ」が好む人材を探し出し、服装に化粧に歌にダンスにと装飾をする。そして、歌、TV番組、映画、グッズといったミーハーにヒットする場を用意すれば、流行りが生まれて稼げる。この流れにうまく乗せたのがジャニーズにモーニング娘にAKBである。憧れの対象となる偶像(アイドル)を作ること。これがミーハーの国で稼ぐ極意である。

日本の「幼さ」は強みである。キティーちゃんをはじめ、キャラグッズが世界中で大人氣となり、「かわいー」という感性も世界に広がっているからだ。日本のお客様サービスが懇切丁寧なのも、お客様の幼さへの対応だと考えるとわかりやすい。店員さんはにっこり笑顔で答えてくれて、先手をうって気配りしてくれる。高級店ならそのサービスもわかるが、コンビニにも駅にも役所にもハイレベルのサービスができる人がそこかしこにいる。かわいそうに不愛想な人は、海外では標準でも日本では「悪く」目立ってしまう・・

一方、幼さは弱点になる。ミーハーはアイドルに思考停止させられる。芸能人を立候補させれば票が集まり、アイドルが商品を宣伝すれば売れる。その商品が偽物でもミーハーには関係ない。さらに幼さは過剰サービスとわがままな客を生み出す。日本でサービス業に携わる人の氣疲れは異常である。ミーハーはピュアな感性だが、子供は可愛くても残虐であるのと同じく、陰な面がある。

このミーハーの陰の側面に辟易し、大人の思考に偏ると今度は面白みのない存在になる。堅物というやつである。無邪氣な面が消えているので、言うこと為すこと可愛げがない。理想は、ミーハーなのに大人の思考もできるという両刀使いだろう。TVでオネエキャラが大活躍しているのはこの両方を満たしているからだ。ミーハーな感性と大人の視点で語るその安定感。現代はオネエキャラから学ぶ時代である。今後、堅物親父が集まる管理職研修では、オネエ化プログラムを導入していこう。

堅物親父がオネエをトレーニングするなんて、想像しただけでもすっごくワクワクしてきたわ❤

 

著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

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