その人の考え方に
違和感を覚えないときは、
“かわいがってもらってる感”や
“兄貴の求心力に集う仲間感”は、
人にとって
まんざら悪くないのだろう。
気取りなく場を盛り上げる名手で、
なかなか頼りになって、
飴と鞭の手練れで、
ここいちばんは太っ腹。
ふだんは頼りになる兄貴、親分。
慕えばいい思いをすることも
多いのだろう。
でもひとたび、
そのせまいサークルの空気に
同調してしまうと、
親分肌のリーダーがおかしなことを
言い出したときに、
「それ違いませんか」と
言い出せなくなる。
ひきずられる。
僕にはそういう局面で
ひきずられる弱さもあるけど、
違和感を覚えてもそれを抑圧して
ひきずられるストレスには、
もっとずっと弱いのです。
だから、何言っても無駄だ、
こりゃ巻き込まれるぞ
と思えば、
すぐにでも逃げ出す算段を
し始めるタイプです。
もっと強い自分でありたかったけれど、
でも、そういうストレス耐性は
からきし貧弱で
ホントよかったなあ、と心底思います。
親分肌のリーダーは誰しも悪い、
というわけじゃない。
親分であることを
アイデンティティーに
してしまっているリーダー。
自分を頂点に置くヒエラルキーに
依存しているリーダーが
苦手なのです。
こういう人は、概ね、
人の話を聞き入れません。
この親分にとって
異なる意見に耳を傾け、
「ふむふむなるほど、
自分の考えより
きみの考えのほうがいいね」
と方向修正する態度は、
親分にあるまじき弱腰だからです。
人の意見に従う態度は、
ヒエラルキーの下位に
身をやつしてしまうことだからです。
平時には自信たっぷりの
魅力的なリーダーが、
危急時には
傲慢で無思慮な
暴走リーダーに転じることは
よくある話。
賢明な部下の助言を袖にし、
親分の体面を死守せんがために、
従順で思考停止している
子分どもの賛意を取り付けながら、
不合理な愚策を
強引に推し進める。
極端に言いますが、
ヘタすると、部下もろとも、
断崖絶壁から
荒れ狂う海めがけて
死の集団ダイブを
決行することにも
なりかねない。
だから僕は、
いばり系の親分肌の
リーダーが苦手です。
親分肌じゃないくせに、
自分に都合がよいように
外堀を埋めて
強権を発動する
いまの政権はもっとずっと
嫌いですが。