この記事について
税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。
仕事ができない人は「国が再教育するしかない」って、言ってましたよね?
はい。昔のドイツがそうでしたけど。それしかないと思います。
20〜30代だったら分かります。でも今は70まで働かないといけない。40過ぎてからの再教育なんてできますか?
私も、もうすぐ40代なんですけど(笑)
今は40代後半が人生の折り返し地点。その時点で食っていくスキルのない人を「国が再教育する」というイメージが湧かない。
まあ難しいとは思います。
たとえば、どんな教育をすれば食えるようになるんですか?
一番ニーズがあるのは介護ですよね。建設業でも人が足りてないし。
介護は税金で成り立たせている業界なので、そんなに稼げないですよ。
難しいですよね。
そもそも45歳以上の人がみんな介護業界に行ったら、国の生産性は上がるどころか下がってしまいます。
そうですね。仕事のニーズはあるんですけど。
もっと高いスキルを再教育する気はないんでしょうか?
「世界で戦える人材」を国が育てようとは思ってない。
え!思ってないんですか。
そう思います。
じゃあどうやって食べていくんですか。
ベーシックインカムを意識した職業訓練って感じ。
ベーシックインカムがあって、プラスαで介護の仕事をすればそこそこ豊かになれると。
はい。ただ日本の税金の取り方からするとベーシックインカムはちょっと厳しい。
それはどういう部分が?
高齢者多すぎるので。
確かに。消費税ぐらいしか払いませんもんね。
そうなんです。だから財源的にちょっと厳しい。
孫さんと柳井さんの2人から「財産を没収する」ってのはどうでしょう。
え!どういうことですか?
お二人には犠牲になってもらう。何兆円か財産持っておられるので。かなりの人数にベーシックインカムを払えます。
じゃあ前澤さんも入れて(笑)
トップ10人ぐらいから没収すれば結構な金額を払えるかも。
いけますね。
久野さんはまだギリギリ大丈夫ですね。
ぜんぜん駄目でしょう(笑)
昔は飢饉になると、農民が金持ち庄屋を襲ったりしたじゃないですか。
百姓一揆ですね。
ああいう感じで、お金持ちの財産を没収して配っちゃう。
大パニックになります。
日本が二つに割れちゃうかもしれません。
すごいことになりますね(笑)
でもお金持って、複利でどんどんお金が増えていくわけでしょ。
そうですね。
放っておいたら貧富の差がどんどん広がっていく。世界のトップ50人の富豪が人類の半分と同じ富を持ってるらしいです。
その金額がどんどん増えていってます。
つまり彼らの財産だけで人類の半分が養えるってことですよ。
そうですね。日本はそこまで極端じゃないですけど。
累進課税も年収1000万の人から30%も取るから不満が出るわけで。年収10億円以上、資産1000億円以上の人から超超超累進課税を取ればいいんです。
もはや革命ですね。
超金持ちは人数的には少ないので。選挙にも好影響じゃないですか。
いやいや。そういう人たちは政治家にお金をしっかり払ってるので。社員も抱えてるから票もたくさん持ってる。
なるほど。でも何のために政治家がお金を受け取るかっていうと、選挙で勝つためでしょ。
まあそうですね。
だったらそんな人たちと縁を切ったほうが勝てると思う。上から徴収して下にまけば選挙では圧勝しますよ。
政治家はどっちかっていうと、そっち側の人なので。
資産を守らなくちゃいけない側?確かに貯め込んでそうですからね。
資産もそうですけど、基本的に自分の利権を守るのが好きな人たちなので。
ひどい人たちですね。
志を持って政治家になった人も、だんだんそっちに染まっていくんです。
じゃあ日本人の生産性を高めるとかいって、本音は資産家のお金をさらに増やすことが目的。
そうでしょうね。本音は。
全員が豊かになることなんて考えてない?
だって現実そういう政策にはなってないですから。
ドイツは何をやって成功したんですか?
いつも安田さんが言ってるモデルですよ。職人の地位を上げる。
マイスター制度ですか?
マイスター制度とか。どんな専門的なスキルでも稼げるようになってる。
なるほど。専門家が稼げる仕組みってことですね。
個人事業主でもちゃんと生活が成り立っていく。そういう文化をちゃんとつくって守ってますよね。
やっぱ最終的には「誰でも稼げる仕事」じゃなく、「その人しかできない仕事」をつくっていくしかないです。
そう思います。その人だけの「価値やサービス」を生み出す以外に、解決策はない。
夢のような仕事があるわけないし。
ただ、みんなそれを探せなくなってるので。何が得意なのかが分からない。
立ち返るしかないですよ。本来の自分に。
まあそうですよね。
問題は国や役人にそれができるのかってこと。
やらなきゃいけないけど、やれないでしょうね。
その真逆のことをやって出世してきたのがこの国のエリート官僚。
学校教育自体が「一人一人の個性を発揮する」というのとは真逆ですから。
何らかのスキルを磨けばいいだけなんですけど。
それがいちばん難しいんですよ。決められた学科しか勉強しませんから。
簡単だと思いますけどね。
どうすればいいんですか。
中学生ぐらいになったら宣言しちゃえばいいんです。「今日から境目研究家になる」って。
怒られます(笑)親も呼び出されます。
久野勝也
(くの まさや)
社会保険労務士法人とうかい 代表
人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。
事務所HP https://www.tokai-sr.jp/
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。