「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。
132通目/大野からの返信
「文脈さえもシフトする力を持つ質問」
神回答ってありますものね。一方で重要なのは、正しい答えを見つける事ではない。仰る通り、正しい問いを探す事が重要です。間違った問いに対する正しい答えほど、危険とは言えないまでも役に立たないものはない、とドラッカーも言っています。そして、文脈が決定的ですが、その文脈さえもシフトする力を持つ質問と同様に鍵となるのが、表情、声のトーンや高い低い、大小とハリ、声の方向。あるいは間の取り方。そしてテンポ。目線は勿論、仕草や身振り手振り、所謂非言語領域。一説にはカラダの使い方は感情のキーボード。例えば、鬱気味の人に焼肉の脂で口の周りをギトギトにしてもらって、スキップしてもらったらそりゃあ回復するでしょうね。
前回131通目/安田「答えのベースとなるもの」
質問する側が主導権を握る。なるほど、そういう一面もありますね。質問は対話における攻めですから。そして回答は守り。将棋に例えるなら先手と後手でしょうか。確かに先手は有利です。でも絶対とは限りません。受けが鋭ければ立場は逆転します。私は初対面では受けに回ります。相手の質問に答えるというやり方です。答えに窮すればこちらの底を見透かされます。答えにキレがあればこちらのペースになります。私はあらかじめ答えを用意しません。その場で考えます。でも準備しないわけでもありません。常に自分に対して質問し、考え続けることによって答えのベースをつくっています。大事なのは自分への深い質問。そして自分との深い対話ですね。
ー安田佳生より
前々回130通目/大野「そもそも質問にどんな力が備わっているのか」
この文脈が決定的だというのがつかめて来ると、おっしゃる通り違いが生み出しやすいですよね。同様に質問もすごくパワフルです。なぜ、質問する側が結果的に会話の主導権を握るのか?そもそも質問にどんな力が備わっているのか。質問はまず可能性を拓くという要素がある。また相手がどのように知覚して、それをオーガナイズしているのかを見つける事を助けてくれる。またピントをどこに合わせているのかもうかがい知れる。同時に時制。勿論、記憶にもアクセスできます。そして、様々な状態を経験できるし、それを強化したり、弱めたりもできる。つまり質問が持つ前提が情報を形づくる。質問する側が相手の情報処理の仕方を形づくっている訳です。
ー大野より
交換日記をする二人
●火曜日
安田佳生(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。
●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto.com/
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/