この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
自分の中にいる応援してくれる存在に気づき、毎朝トークする
「今、頭の中を、鹿が歩き回っているのです。」それは、Dさんの不思議な一言から始まりました。
でも、一見おかしな言葉が大切なのです。それは、まだ言葉にできない何かを教えてくれるからです。しかも、Dさんの仕事は‥‥なんと、ヒーラー。古来の修行を数々経験している方です。
Dさんは、いかにもヒーラーらしい穏やかな雰囲気で、話を続けました。
「『頭の中の鹿を誰かに描き出してほしい』と思いました。だから、この半年、いろんな画家の絵を見ました。でも、なんと表現したらいいか‥‥この繊細さを描き出した作品は、他にはないのです。だから、門間さんに描いてほしい、と確信しました」
と、チャーミングな笑顔が溢れました。
「なぜ、鹿が頭の中を歩きまわっているのですか?」と聞くと、
「私の守護神、心の友として、来てくれたのです」と、返ってきました。これはまさに‥‥ヒーラーらしい動機だ! と、どきっとしました。
しかし同時に、「ある意味、守ってくれる存在を感じるのは当たり前のことだ」と感じました。例えば、愛する家族、尊敬する人などが、「自分を守ってくれる」と感じるのはごく自然です。誰かが守ってくれるのだ、と素直に受けとればいいのです。
大事なことは【心の友達】なんだ、【守護神】なんだ、と、チカラを得ることなのです。
理屈なんてわきに置けばいい。
「鹿は、どんな鹿か、わかりますか?」
と聞くと、
「自然の中にいる、青い鹿です」
さすが守護神、色もスペシャルです。
Dさんの青、、、さて、青かな緑かな?と、画家としてのスイッチが入りました。
【青=緑】は日本の伝統です。
5世紀中ごろの『雄略(ゆうりゃく)天皇記“のなかで、<青摺(あおずり)>という【青みのある緑】が青といわれています。私たちも、緑の信号を青と言ったり、木々を「青々としている」と表現します。
日常生活では、気づかないくらい何気ないことです。
しかし、絵となると「緑色の鹿」と「青色の鹿」では印象がまったく違います。
緑の鹿であれば、自然の中に溶け込むよう。
青の鹿であれば、木々と違った存在感。
どちらか確かめるために、
「シカの青に近い色は、身の回りにありますか?」と聞くと、「これです」とブレスレットが差し出されました。
それは、美しい緑色をしていました。
【青い鹿】は、緑色だったのか!
と、イメージが一気に開けました。
そして、木々の中に一体化した緑色の鹿が、生き生きと浮かびました。
次に、「どんなポーズか浮かびますか?」と聞くと、「私をまっすぐに見つめてほしいです。
そして、上半身だけ。そうして、鹿と目と目を合わせたい‥‥」と返ってきました。
まるで、合わせ鏡のように、Dさんと鹿が向かい合うのが、生き生きと伝わってきました。だから、その場でスケッチをさらりと描いて、構想が決まりました。
そうして始まった制作。
ビジョンクリエイターとして、Dさんの頭の中だけにいる鹿を、絵に引き出します。
顔やツノなど、詳しいスケッチを繰り返し、微妙なグリーンのグラデーションで描きました。
鹿のイメージが、生きているように現れてきます。
そして、本画に着手して数ヶ月。
ある日、制作の手がぴたりと止まりました。
【どんな瞳なのだろう】
どこにもない瞳。
でも、Dさんの心の中でイキイキと語りかける瞳。
それを求めて、気がついたらひと月経っていました。
アトリエの壁にかけて眺めては手を入れましたが、どうにもピンとこないのです。時間は刻々と過ぎていきますが、ピンとこないものは完成しません。毎日、ギリギリまで突き詰めて、その先が現れるのを待ちます。
誠実に、真摯に、向き合い続ければ、必ず答えは訪れるからです。
そして1ヶ月が経った頃、ついに、その時がきました。Dさんのところに鹿が現れたように、私のところに瞳のイメージがやってきたのです。
イメージがきたら、もう、1日もかかりません。数時間で、絵が完成しました。
ああ、この瞳だ。絵に現れた鹿の瞳と見つめあって、確信しました。
そして、Dさんに届けると、
「吸い込まれそうな瞳! 今日は鹿くんとエンドレストークします!」
と喜びました。今では毎朝、鹿くんと目を合わせて、対話するそうです。 そして、よいエネルギーを保っているそうです。
心から応援してくれる、守ってくれる存在を、毎日感じる‥‥。
それは、心を温めてくれます。身体から余計な力を抜いて整えてくれます。そして【自分は一人じゃないのだ】と思い出させます。
誰にでも、心から応援してくれる、守ってくれる存在は、必ずいます。でも私たちは、忙しさで忘れていたり、勝手な思い込みで「誰もいない」と勘違いしてしまいがちです。
大切なのは、思い出すこと、気がつくこと、そして、忘れないことなのです。
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。