赤い出口、青い出口 第43回「商売のおもしろさ」

このコンテンツについて
自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第43回 商売のおもしろさ

【消えた売上】

私の家族商売は輸入販売です。
モロッコの工場からスキンケア商品を仕入れ
ネットを通じて販売しています。
ニッチな市場の商品のため、
大爆発はしませんが、
長く続けるとお客様が増えてきて、
ゆっくり成長していました。

ところが、
2021年になって、
ネットの売上が急に減少しました。
もちろん今までのお客様は
購入していただけるので、
ゼロではありませんが、
期待値の半分ほどになりました。

競合他社が増えたわけではありません。
スキンケア市場も全体としては拡大しています。
巣ごもり消費の恩恵を受けてもいます。
ではなぜ売上が落ちたのか。

【売れないときの対処】

売上が落ちた理由は、
知らないうちに「流行り」に乗っていたからです。

今まではニッチな市場ではあるものの、
安定して新しいお客様が購入くださいました。
それは、私だけでなく業界に携わる人が
みんなで盛り上げていたからからだと
言うことがデータからわかってきました。

商店街の店舗に例えると、
商店街を盛り上げるために、
各店舗が商品開発や販売の工夫をします。
それを目当てにお客様が集まり、
違う店にも顔を出すようになる。
結果として、商店街も店舗も潤うようになる。
そんな環境にいたのがわかったのです。

いわゆる「流行り」のおこぼれに
あずかっていたのです。

ただ、私がここで考えたことは
再び「流行り」を探し、広告費をかけ販促して、
失った売上を取り戻すのではなく、
もう一度商品を考え直したり、
お客様との関わりを深めることが
大事なのではないかということです。

【売れないなら、やめますか?】

商売を数年続けると、
儲けや損失も商売の面白さのひとつですが、
お客様や一緒に仕事をする方との
出会いやコミュニケーションが
とても面白いとわかります。

私達の輸入事業は気づかないうちに、
儲けを目的にしてしまっていたため、
その商売の楽しさや喜びとは
違った方向に進んでいたのではないかと。

もしもそのまま、
儲けや売上にこだわるのであれば、
「商品が売れないからやめなくては」
「事業を失敗したから、廃業しなくては」
という結論になってしまいますが、
家族商売や個人事業なら、
辞める出口を自ら設定する必要はないですし、
無理なく運営することも可能です。

幸い、スキンケア市場は活況です。
男性用のスキンケアもとても賑わっています。
マスクをすることによる肌荒れが注目され、
巣ごもりによる、
日々の肌の手入れ時間も増えています。

それならば、
商品をご愛用していただくお客様と一緒に、
次の手を模索していくのも、
自分らしくて良いなと。
家族商売は時間だけはありますから。

 

著者の他の記事を見る


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

感想・著者への質問はこちらから