第371回 事業に必要な人間の数

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第371回「事業に必要な人間の数」


安田

みずほ銀行さんがAIを活用して事務職を削減するそうです。なんと1万5000人いるうち5000人を減らすそうです。

久野

減らすと言っても解雇するわけじゃなく営業職への異動ですね。

安田

とはいえ今まで事務職をやってきた人に「現場で営業やれ」というのは辞めろと言っているのに等しい気もしますが。

久野

一応日本の労働法では配置転換もして「なんとか雇用を維持する」という努力が必要なので。

安田

要は体のいい追い出しという気がしますけど。ずっと事務でやってきた人が営業でいきなり仕事できるんですかね?

久野

いや、そこは同感ですね。売り上げを増やせる部門に移動して、ダメだったら「ごめんなさい」っていうのもセットだと思います。

安田

ですよね。やはりAIの普及で事務職が減っていくのは避けようがないですか。

久野

避けようがないと思います。SBIホールディングスの北尾社長も「よほど優秀じゃなければ採らない」と言ってましたから。

安田

もう人間がいらないってことですか?

久野

はい。「そういう未来がもう見えてるよ」っていうメッセージだと思う。

安田

事務職員を営業に配置転換するくらいなら、早期退職の方がまだ良心的な気もするんですけど。企業イメージが悪いから整理解雇じゃなく部署異動にしてるんですかね。

久野

おそらく社内で希望退職も募るでしょうし、もちろん異動も選べるし、いろんなパターンを用意して本人たちに決めさせていると思います。

安田

なるほど。じゃあ退職金を受け取って辞める人もいるってことですね。

久野

いると思います。本人に選ばせるというのが賢明なやり方なので。

安田

でもメガバンクなんてホワイトカラーで持ってる業種じゃないですか。

久野

事業構造がもう完全に変わっちゃうってことなんでしょうね。融資の判断も含めてAIエージェントがいて、必要書類もAIエージェントに全部集めさせれば、ものすごいコスト削減が出来るので。

安田

確かに今は融資の申し込みが全部オンラインです。

久野

オンラインでさらに踏み込んで、相談まで全部AIチャットで出来るようになるでしょうね。

安田

そうなると事務職どころか営業もいらなくなる可能性もありますよね。

久野

営業も要らなくなると言われてます。例えばAIが架電したり営業メールを送ったりして。

安田

すごい時代ですね。

久野

最後だけ人間の上司が決済して融資が決まる、みたいな。

安田

もう銀行業界から人間の現場仕事が無くなるってことですね。

久野

全ての会社から人が減っていくと言われてますから。

安田

じゃあ今回の異動も一時的なものでしょうね。

久野

次々にAIが迫ってくるんですよ。ヒューマノイドと言われるロボットも出てきますし。

安田

現場仕事だけは残ると言われてますけど。

久野

現場が安心かと言うとそうでもない。とにかくどんどん異動して行かなきゃいけなくなる。

安田

人間が絡むと保険営業のように癒着や不正も起きますしね。

久野

融資も保険も人が関わらなくなれば、もっとリスクを取れるわけですから。経済合理性を考えても人間は減っていくと思います。

安田

より大きなリスクを取ると今より儲かるようになりますか。

久野

焦げついた案件が多少増えても、前よりは絶対儲かると思います。

安田

焦げ付き案件も減るかもしれませんね。人間が感情で判断するよりAIが判断した方が。

久野

ただAIは過去からの経験の蓄積なので。新しいビジネスに関しては人間の力が必要になるかもしれません。データに出てこない会社の良さってあるじゃないですか。そういう判断は人間の仕事であってほしいなと思います。

安田

確かにそうですね。でも人間の仕事はどんどん減っていくと。

久野

はい。特に今の時点で目利きが出来ない人はもう厳しいと思います。

安田

メガバンクって何十万人も社員がいますけど、最終的には何人ぐらいになると思いますか。

久野

下手するとほんとに2割ぐらいで回っちゃうかもしれないです。

安田

2割ですか。

久野

そんなもんじゃないでしょうか。想定外のミスは起きるので責任を取る人は必要ですね。あとはトラブルシューターとして人が必要だと思います。

安田

なるほど。クレーム処理と責任を取る仕事ですか。

久野

そこにある程度の人数は必要だと思います。例えば100億を1人でやるなんてことは現実的にあり得ないと思うので。売上規模によって最適な人数をAIが算出していくでしょうね。

安田

そこもAIですか。

久野

はい。全体管理に関してはほぼAIの仕事になっていくと思います。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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