一部の大企業が早くも採用を抑制し始めた。初任給を40万円台に吊り上げて若手の奪い合いをしていた集団が手のひら返しを始めたのである。これは心変わりではない。初めから織り込まれていた手順なのだと思う。優秀な若手人材を自社で囲い込む。それは省人化へのファーストステップに過ぎない。
人の仕事はいずれ確実にAIやロボティクスに置き換えられていく。しかしそれにはまだ時間がかかる。その隙間を人で埋める必要があるのだ。初任給を吊り上げ大量採用した人材の大半はその時までの繋ぎである。もちろんAI&ロボティクス時代になっても最低限の人は必要だ。仕組みを管理できる人。
大量採用した若者はこれから篩(ふるい)にかけられる。初任給は高いがまったく昇給しない人たち。それが荒い網目からどんどんこぼれ落ちていく。中小企業は人が抜けた穴を別の人で補充しようとするが、大手はそんな無駄なことはしない。より少ない人員で回せる仕組みを着々と構築しているのだ。
爆発的な初任給アップは最後の新卒への臨時ボーナスなのかもしれない。近い将来、大企業はほとんど新卒を採らなくなるだろう。人不足が続く中での採用コストアップ&採用レベルダウン。育成コスト、離職問題、コンプラリスク、労働法対応、社会保険料負担などなど、採らない理由は山ほどある。
中途採用同様に新卒も即戦力採用となる。会社はもはや人を育てない。他社が育てた人材、もしくは自分で育ってきた人材のみを採用する。厳選に厳選を重ねた人材のみを超高額報酬で採用する。彼らは仕組みを作って動かす人間であり、最低限の人員で最大の利益を生み出すことを目的としている。
人を使わなくなった大企業は爆発的な利益を生み出す。圧倒的な採用力で仕組みを構築できる人材を囲い込む。「人が多いほど売上も利益も大きくなる」という常識は崩壊し、規模が大きくなるほど売り上げに占める人件費率は低下していく。人を集めることで儲けてきた会社から人が消えていくのである。
これはかなり確実な未来予測である。その時、中小企業はどのような選択をするのか。あえて人間というアナログを残す。これは必須だろう。ただしアナログ100%では絶対に生き残っていけない。30%のアナログを支える「雇わない」仕組み。それ無くして小さな会社が生き残ることは不可能である。
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