第122回 人生の満足度を最大化する「意思のある欲求」

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第122回 人生の満足度を最大化する「意思のある欲求」

安田

藤原さんのメルマガに「意欲とは意思のある欲求だ」と書いてあって、なるほどなと思ったんです。漢字で分けると、意思の「意」と欲求の「欲」。意思なきところに意欲は湧かないということですよね。そんなこと考えたこともなかったなと。


藤原

単なる欲とは違うものだとは思います。ただ、欲そのものは必要なもので、人類の進化や成長は欲があったからこそ実現してきた。欲がなくなったら生きる力が弱ってしまいますから。

安田

確かに。でも世の中には「欲だらけなのに意欲がない人」もたくさんいますよね。食欲も物欲もあるのに、何のためにそれを求めているのかがない。あれは意欲とは呼べない気がします。


藤原

単なる欲でしょうね。一方で90代や100歳を超えても生き生きしている方って、ちゃんと意欲があるんですよ。新聞を欠かさず読んだり日記をつけたり、食欲もしっかりある。量は若い頃と違いますけど、食べたいという力を持って生きていらっしゃる。

安田

ほう、それも意欲と言えるんですか。


藤原

私はそう思いますね。ゲームに熱中した子どもが限界まで食べずにいて、どうしようもなくなってから急いで詰め込むのは意思のある欲求とは言えない。でも「家族と今日の夕飯何にしようか」と楽しみにする食欲は意欲ですよ。

安田

なるほど。食べることに喜びや意味を見出しているかどうかの違いですね。でも意思があるからこそバランスが悪くなるとも言えませんか。本能に従っていれば必要以上には食べないし、必要以上に欲しがらない。


藤原

確かにそうですね。意思のある欲求はもしかしたら人間独自のものかもしれません。動物は本能に従って必要な分だけ食べて必要な分だけ寝る。でも人間は意思が入るからこそ、いい方にも悪い方にも振れてしまうので。

安田

意思に基づく欲求だからこそ、過剰な食欲が出たり悪い欲求も生まれたりすると。そう考えると「我欲」は意欲の悪いバージョンなんでしょうね。つまり、いい意欲もあれば悪い意欲もあるという。


藤原

そうですね。その境目を見極めることこそが人間の営みであり、人間の独自性が出る部分なんだと思います。

安田

なるほどなぁ。年をとってもいい意欲を持っている方って、我欲とは反対の方向に向かっている気がしますよね。自分のためではなく、世の中がちょっとでもよくなるために自分にできることをやろうというような意欲を感じる。


藤原

それって自分の生きている意味を確認したいという欲求から来るんでしょうね。誰かの役に立って喜ばれることで、生きる意味を実感できている。晩年の満足感の源泉はそこにあるんじゃないでしょうか。

安田

残りの寿命が少なくなると、自然と満足感を持って死にたいと思うようになりますからね。その時に人や社会に貢献する以外で、本当の満足感ってなかなか湧かないと気づく。お金や地位じゃないんだなと。


藤原

だから成功した経営者って晩年に利他的になっていく方が多いんでしょうね。稲盛さんや松下さんもそうですけど、人生の満足のウェイトがそちらに移っていく。そこで得られる充足感の方が大きくなるんだと思います。

安田

ただそれは経営者に限った話ではなくて、普通の会社員でもある年齢を境に利他的になる方はいますし、逆に成功しても我欲から離れない方もいる。そう考えると、経済的な成功と利他ってそれほど単純な関係ではない気がします。


藤原

同感です。結局、「人生とは何か、生きる意味とは何か」と考え続けている人は、経済的な成功に関係なくそちらに向かっていく気がします。

安田

でもそっちに向かう人のことを「スピリチュアルだ」とか「現実から逃げている」なんて揶揄する人もいるじゃないですか。

藤原

欲が終わらない人から見ると、もう別の生き物に見えるのかもしれませんね。ただ、我欲のまま本当に最後までいく人って実はそんなに多くない気もして。

安田

ああ、確かに。お金を稼ぐことすらできなくなった時に、ようやく違うものが見えてくる人もいるでしょうからね。

藤原

ええ。遅かれ早かれ、お金以外の大事さに気づく人の方が多い気はしますね。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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