【読むPodcast | マネトレ87-後半】「飲食店経営のこの先」第214回

飲食店の経営者さんからご質問。コロナの影響で経営は大変。助成金や融資を活用しながらキャッシュを潤沢にし経営されているなか、この先の出口戦略も考えているとのこと。M&Aを行い買ってもらいたいとの希望があるようです。と、その前に、札幌のとある小料理屋さんのお話です。(音声はこちらから。)
円道

自分の代できっちり終わると。

大久保
うん、そんな感じ。なんでかっていうと、その1店舗の職人芸の店を売れるかっていうと、なかなか難しい。よっぽどね、ミシュランで星取ってるとかじゃないとね。「自分が持ってたい」みたいな、「オーナーになりたい」みたいな、そういう規模感でのM&Aはあるかもしれないけどね。
円道

うんうんうん。

大久保

それもひとつだけど、その場合って結局、好きなようにやれない気もするしね。どうなんだろうね。

円道

あ~。まあ、たしかに清算っていう選択はありますよね。自分の代で終える。

大久保

そうなると、その場合は、超過したお金持ってる分には、キャッシュは大事だから持ってていいんだけど、逆にいうと、溶かしちゃうと清算できなくなっちゃうからね。

円道

あ~。

大久保

ある意味、引き際も大事なのかもしれないね、もし本当に大変なら。

円道
なるほど。うんうんうん。
大久保

逆に事業価値があって売れるってなった場合、まあ、そっちのほうがもちろんいい結果にはなるんだろうけど。給料もらえばいいからね。

円道

うんうんうん。

大久保

ただ、そのときに「キャッシュを潤沢に」っていうのが最優先じゃなくなるかっていうと、いま赤字だとしたら、やっぱキャッシュないともちろんつぶれちゃうから。ただ、どれぐらい利益出せるかっていうことだよね。

円道

利益ね。

大久保

利益出せるかっていうのと、広がるポテンシャルがあるかっていうところなんじゃないのかなあ。まあ、街の飲食店を買わないよね、よっぽどのことがないと。

円道

価値がある基準は、利益と、広げられるかのポテンシャル?

大久保

うん。外食が高く売れるとすると、オペレーションが整ってて横展がすごいしやすいとか。やっぱ、伸びる可能性があれば高く売れるとは思うんだよね。

円道

なるほどですね。指向としては、大きな方向は間違ってなさそうですかね。

大久保

逆に「そういうのもないよ」っていうことで……単純にブランドで売れるっていうこともあるのかもしれないけど。

円道

のれん的な、っていうことですか?

大久保

うん。そんなに価額がつかなくても、このままマイナスになっていき、破産に向かうよりは、いまのうちに安くても、さっき言った「オーナーになってもらう」に近いかもしれないけど、譲渡して個人の資産を守るっていうことも考え得るよね。まぁ、外食だから借り入れのほうが多いんだろうけど。コロナで個人と法人が一体になってるというか、まあ、もとから一体だったんだけど、やっぱトータルで考えないといけないよねっていうことは最近すごく思うよね。

円道

うん。

大久保

この人の温度感がわかんないけど、ほんとに大変な経営をしてて手放したいっていうんだったら、手放すっていう可能性も、いまならまだあるのかなと。

円道

なるほど。

大久保

もうメタメタになってると再生処理入んなきゃいけないからね。債務免除して譲渡するっていうことになると、個人のほうも、基本的には連帯保証入ってるだろうから、自己破産みたいなことをしなきゃいけないかもしれないし。

円道

そうか、だから、出口としてM&Aという方向を見据えたときに、ちゃんと利益、店舗展開できるか、のれんの価値があるか、みたいな軸はあるのが大きい方向としてはあるが、その一歩手前で、そもそも、いったん撤退するっていう選択があるのかないのかのジャッジは、冷静に、してみたほうがいいよっていうのがあると。

大久保

逆の、逃げのM&Aじゃないけどね。

円道

あ~。

大久保

どっかと組めば利益が出るようになるとか。やっぱ、ほんとに今年は相当、国もM&Aの支援をしていて、特に買い手支援をしてきてるから、増えていくと思う。

円道

買い手が増えると。

大久保

M&Aの件数もね。だから、自分の会社だけじゃなくて、業界のタテ・ヨコを見ながら経営していくっていう時代になるんじゃないかな。それは買うも売るも含めてね。

円道

なるほど。

大久保

買う・売るじゃなくて、提携も含めてね、コロナ後のそんな雰囲気はあるんじゃないかな。零細企業が1本で頑張っていくっていう感じは、ちょっとむずかしそうな雰囲気はあるよね。

円道

は~、なるほどな。ちょうどコロナのこのタイミングで、ディーラーの社長が地域密着に攻めるためにどこと提携しようって考えた結果、結婚相談所の社長と組んだっていう例とか、大きな仕事のやり方としては近しい話ですよね。

大久保

なるほどね、はいはいはいはい。面白い。

円道

なるほど~。いやいや、ぜひ、しっかりと聴いて、勉強してくれるっていうことなんで……

大久保

やっぱりキャッシュあるうちだから、ほんとにその視点で考えて、「減っていっちゃうよね」っていうのを見てないで、「どこまで減らしていいか」っていうのを設定すべきだと思う。「これ以上になったらもう無理です」っていう、リスケをするのか再生するのか、あるいは、もう早く……。売るにしても半年から1年はかかるわけでさ。その期間に業績もメタメタだったり、キャッシュがないと足元を見られるからね。普通は再生してから買おうとするから。そうならないうちに、早め早めに手を打つということが大事なのかな。

円道

なるほど。「攻めのM&A、逃げのM&Aも想定しよう」というような話ってとこですかね。

大久保

はい。

円道

ぜひ、また何かありましたら質問をお待ちしております。今日のとこは終わりたいと思いまーす。大久保先生、ありがとうございましたー。

大久保

ありがとうございまーす。

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