この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。
安田
小さな飲食店が逆にもうかってると。コロナバブルとか言われて。
久野
安田
人を雇ってなければ1日6万で十分ですよ。ネット民の反応は「税金の無駄遣いだ!最終的に払うのは俺たちだ!」みたいになってます。
久野
文句が出て当然ですよ。こんなに不公平なことをやったら。
安田
今って、コロナの影響でバンバン国からお金が出てますよね。これって、いずれ課税されるんでしょうか?
久野
地震の時にも復興税があったじゃないですか。今も払ってると思うんですけど。
安田
久野
今回も何かしら「コロナ復興税」みたいのが出るんじゃないですか。
安田
久野
落ち着いてからでしょうね。ワクチン打って2年後ぐらいじゃないですか。
安田
すでに年収はかなり下がってて、税金や社会保険料の負担も大きくて。これ以上やったら個人支出は壊滅的なことになりませんか?
久野
安田
そうなったら会社の売り上げも伸びないし、給料も増やしようがないという悪循環なわけで。国の偉い人だって、もちろんそこは把握してるわけですよね。
久野
安田
コロナで沈みそうな経済を支えるために、お金をまいてるわけでしょう?なのに税金を上げたら意味なくないですか。経済がシュリンクすることは確実ですよ。
久野
そうですね。可処分所得でいうと15年間で50万円ぐらい手取りが減ってますから。
安田
50万円も!ということは月に4万円以上減ってるってことですよね。
久野
そうですね。社会保険料が上がったり、特別控除の一時廃止もあったり。子どもの扶養手当の縮小とか。消費税はまたその後の話で。
安田
久野
安田
コロナで打撃を受けて、さらに税金でもっていかれる。これは相当なダメージだと思うんですけど。そんなことしますか?国は。
久野
そうですね。なんというか…使ったお金は、どこかから持ってくるしかないので。
安田
お金を刷って配ればいいじゃないですか。いつものように。
久野
その発想もありますよね。とにかく借金してガンガン進んでいくっていうのも、ひとつの手だと思う。
安田
久野
まあ国って寿命がないので。先送りするのはひとつの手ですね。
安田
久野
日本人ってすごく不思議で。国家として負債が続くのも嫌だし、自分たちの手取りが減るのも嫌なわけですよ。
安田
久野
でも二つ実現するのは無理な話なので。どっちかですよ。
安田
財務省の人は「増税したら出世できる」って噂があるんですけど。本当ですか。
久野
普通に考えればそうじゃないですか。KPIが違うので。基本的には税収を増やすのが財務省の役割じゃないですかね。
安田
いま一番の問題は「人口が減ってる」ってことじゃないですか。
久野
はい。だから一人当たりの生産性を上げなくちゃいけない。
安田
でもいきなり「一人当たりの生産性を上げろ」って言われても、なかなか急には無理ですよ。
久野
安田
もうちょっと福祉のレベルを下げて、その分税金も下げて、みんなで低いレベルで生きていくってのはどうでしょう。
久野
それもひとつの選択肢だと思います。ただ日本って「誰も取り残されない」という医療体制なので。福祉レベルもすごいんですよ。
安田
国民にその自覚はあるんでしょうか。文句ばかり言ってますけど。
久野
そこが問題ですよね。とんでもなく安いお金で医療を受けられるんですけど。多分やりすぎなんでしょうね。
安田
やりすぎですよ。せめて3割ぐらいは負担してもらわないと。
久野
それがシルバーデモクラシーですね。とにかく年金問題、社会保障問題に手をつけると政権が崩壊するので。
安田
民主主義の限界ですね。高齢者に媚びてたら先のことなんて考えられないですよ。
久野
今は企業に生産性をひたすら押し付けるスタイルですね。税金も社会保険もしっかり取らせてもらいますと。さらに従業員の給与も増やしなさいと。
安田
企業はどう考えても「人を雇わない」という方向に舵を切らざるを得ないです。
久野
そうですね。突き詰めると最後は「デジタル税」とかになってくる。
安田
久野
安田
NHKみたいですね。テレビがなくても全員払わせるみたいな。
久野
「仕事を与えるのは国家の役割だ」と国民が思ってるんです。だから選挙で勝つためにはそっちに行きます。
安田
久野
正直それはありますよ。政治家を選んでるのは国民ですから。
安田
もう投票はやめて、 AIに決めてもらうってのはどうですか。テニスの線審もAIにしたらみんな納得するようになったし。
久野
安田
もしくはAIに国会議員を選んでもらう。国民が選ぶからこんなことになるんですよ。
久野
AIが決めたら、とんでもなく失業者が出ると思います。
安田
一旦はそうなるかもしれません。でもAIが判断するのなら、その一手はきっと正しいんですよ。将棋だって結局AIが最後には勝つんですから。
久野
安田
ちなみに、どんどん借金が増えていくと、最後には日本ってどうなるんですか。
久野
すごい批判を受けそうなんですけど。そもそも国には寿命がないので、借金が増えても特に問題ないんですよ。
安田
久野
必ず回収してくれって話になると、逆に国家が崩壊します。
安田
じゃあ回収しなくていいと。でも国際的な信用は下がりますよね。
久野
日本人って不思議なことに、これだけ国の文句を言ってても、みんな日本の国債を買うんですよ。だから国家の信用が落ちづらい。
安田
じゃあ借金を返すために、また新たな国債を発行して。つまり自転車操業ですよね。
久野
安田
なるほど。いくらでも貸し続けてくれるんだったら、確かに潰れませんね。金利だけ払っとけばいいので。
久野
安田
普通の会社だったら、銀行に「もう貸しません」って言われて潰れますけど。
久野
安田
久野
安田
でも国債を買ってる国民なんて、ほんのひと握りですよ。
久野
投資信託も定期預金も国債を買って回してるんですよ。つまりみんな日本という国を信用してるってことなんです。
安田
久野
だけど円で貯金するでしょ。それは日本を信用してるってこと。そういう国民性が日本を支えてるんですよ。
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安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。