第115回 日本国を支えているもの

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第115回「日本国を支えているもの」


安田

小さな飲食店が逆にもうかってると。コロナバブルとか言われて。

久野

みたいですね。

安田

人を雇ってなければ1日6万で十分ですよ。ネット民の反応は「税金の無駄遣いだ!最終的に払うのは俺たちだ!」みたいになってます。

久野

文句が出て当然ですよ。こんなに不公平なことをやったら。

安田

今って、コロナの影響でバンバン国からお金が出てますよね。これって、いずれ課税されるんでしょうか?

久野

地震の時にも復興税があったじゃないですか。今も払ってると思うんですけど。

安田

はい。いつの間にか取られてますね。

久野

今回も何かしら「コロナ復興税」みたいのが出るんじゃないですか。

安田

それはいつ頃?

久野

落ち着いてからでしょうね。ワクチン打って2年後ぐらいじゃないですか。

安田

すでに年収はかなり下がってて、税金や社会保険料の負担も大きくて。これ以上やったら個人支出は壊滅的なことになりませんか?

久野

なるでしょうね。

安田

そうなったら会社の売り上げも伸びないし、給料も増やしようがないという悪循環なわけで。国の偉い人だって、もちろんそこは把握してるわけですよね。

久野

はい。把握してるはずです。

安田

コロナで沈みそうな経済を支えるために、お金をまいてるわけでしょう?なのに税金を上げたら意味なくないですか。経済がシュリンクすることは確実ですよ。

久野

そうですね。可処分所得でいうと15年間で50万円ぐらい手取りが減ってますから。

安田

50万円も!ということは月に4万円以上減ってるってことですよね。

久野

そうですね。社会保険料が上がったり、特別控除の一時廃止もあったり。子どもの扶養手当の縮小とか。消費税はまたその後の話で。

安田

その上コロナ税がきたら、さらに減りますよ。

久野

減りますね。

安田

コロナで打撃を受けて、さらに税金でもっていかれる。これは相当なダメージだと思うんですけど。そんなことしますか?国は。

久野

そうですね。なんというか…使ったお金は、どこかから持ってくるしかないので。

安田

お金を刷って配ればいいじゃないですか。いつものように。

久野

その発想もありますよね。とにかく借金してガンガン進んでいくっていうのも、ひとつの手だと思う。

安田

先送りしてるだけかもしれませんけど。

久野

まあ国って寿命がないので。先送りするのはひとつの手ですね。

安田

永久に先延ばしすればいいと。

久野

日本人ってすごく不思議で。国家として負債が続くのも嫌だし、自分たちの手取りが減るのも嫌なわけですよ。

安田

確かに。どっちに行っても文句言いそう。

久野

でも二つ実現するのは無理な話なので。どっちかですよ。

安田

財務省の人は「増税したら出世できる」って噂があるんですけど。本当ですか。

久野

普通に考えればそうじゃないですか。KPIが違うので。基本的には税収を増やすのが財務省の役割じゃないですかね。

安田

いま一番の問題は「人口が減ってる」ってことじゃないですか。

久野

はい。だから一人当たりの生産性を上げなくちゃいけない。

安田

でもいきなり「一人当たりの生産性を上げろ」って言われても、なかなか急には無理ですよ。

久野

大変ですけど、やるしかないんですよ。

安田

もうちょっと福祉のレベルを下げて、その分税金も下げて、みんなで低いレベルで生きていくってのはどうでしょう。

久野

それもひとつの選択肢だと思います。ただ日本って「誰も取り残されない」という医療体制なので。福祉レベルもすごいんですよ。

安田

国民にその自覚はあるんでしょうか。文句ばかり言ってますけど。

久野

そこが問題ですよね。とんでもなく安いお金で医療を受けられるんですけど。多分やりすぎなんでしょうね。

安田

やりすぎですよ。せめて3割ぐらいは負担してもらわないと。

久野

それがシルバーデモクラシーですね。とにかく年金問題、社会保障問題に手をつけると政権が崩壊するので。

安田

民主主義の限界ですね。高齢者に媚びてたら先のことなんて考えられないですよ。

久野

今は企業に生産性をひたすら押し付けるスタイルですね。税金も社会保険もしっかり取らせてもらいますと。さらに従業員の給与も増やしなさいと。

安田

企業はどう考えても「人を雇わない」という方向に舵を切らざるを得ないです。

久野

そうですね。突き詰めると最後は「デジタル税」とかになってくる。

安田

デジタル税?

久野

雇わなくても税金は取るよと。

安田

NHKみたいですね。テレビがなくても全員払わせるみたいな。

久野

「仕事を与えるのは国家の役割だ」と国民が思ってるんです。だから選挙で勝つためにはそっちに行きます。

安田

国民が悪いってことでしょうか。

久野

正直それはありますよ。政治家を選んでるのは国民ですから。

安田

もう投票はやめて、 AIに決めてもらうってのはどうですか。テニスの線審もAIにしたらみんな納得するようになったし。

久野

AIに政策立案させるってことですか?

安田

もしくはAIに国会議員を選んでもらう。国民が選ぶからこんなことになるんですよ。

久野

AIが決めたら、とんでもなく失業者が出ると思います。

安田

一旦はそうなるかもしれません。でもAIが判断するのなら、その一手はきっと正しいんですよ。将棋だって結局AIが最後には勝つんですから。

久野

そうかもしれませんね。

安田

ちなみに、どんどん借金が増えていくと、最後には日本ってどうなるんですか。

久野

すごい批判を受けそうなんですけど。そもそも国には寿命がないので、借金が増えても特に問題ないんですよ。

安田

なんと!

久野

必ず回収してくれって話になると、逆に国家が崩壊します。

安田

じゃあ回収しなくていいと。でも国際的な信用は下がりますよね。

久野

日本人って不思議なことに、これだけ国の文句を言ってても、みんな日本の国債を買うんですよ。だから国家の信用が落ちづらい。

安田

じゃあ借金を返すために、また新たな国債を発行して。つまり自転車操業ですよね。

久野

貸し剥がしのない自転車操業ですね。

安田

なるほど。いくらでも貸し続けてくれるんだったら、確かに潰れませんね。金利だけ払っとけばいいので。

久野

そうだと思います。

安田

普通の会社だったら、銀行に「もう貸しません」って言われて潰れますけど。

久野

国の場合は、絶対そういうことはあり得ないので。

安田

何があっても貸し続ける銀行を抱えてるみたいな。

久野

国民が日本の国債を買い続ける限りは。

安田

でも国債を買ってる国民なんて、ほんのひと握りですよ。

久野

投資信託も定期預金も国債を買って回してるんですよ。つまりみんな日本という国を信用してるってことなんです。

安田

信用した覚えはないんですけど。

久野

だけど円で貯金するでしょ。それは日本を信用してるってこと。そういう国民性が日本を支えてるんですよ。

 

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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