第58回 昇進と組織づくり。

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

【昇進について】

20年以上オーナー経営者に近いところで
仕事をしていると、
経営とは細かに施策をうつことだと、
気付かされます。

オーナー経営者は、
積極的に他社の良いところを取り入れたり、
常に自社を改善しようとしています。
一方、社員とは残酷なもので、
それが成功すれば人は集まり、
上手くいかなければ離れていきます。

しかしながら出世するのは、
会社の調子が良いときも悪いときも、
オーナー経営者のそばで支え続けたひとが、
会社の中枢になる事が多いようです。

私のような外注さんからすると、
一緒に仕事をしている方が昇進すると、
仕事の成果があったということになりますし、
私にも、より一層大きな仕事を任せられる
可能性もでてくるので、
とてもありがたく感じます。


【上司を選ぶ社員】

ただ、最近は手放しで喜んでは
いけないような気がするのです。

なぜなら、
組織を作る会社員の志向が
変わっていっているのを感じるからです。
直属の上司に対する信頼が
薄れていると感じるのです。

今までは、嫌な言い方ですが、
誰が上司でも組織として機能しました。

みんながみんな、年功序列を信じていたので、
長く生き残る上司を支え続けることが、
昇進の秘訣となりました。
つまり、
「社長を支え続ける上司を、支え続ける私」
が昇進の重要な要素だったのです。

しかし、
現在入社して来る社員は、
もちろん年功序列に期待していませんし、
逆に、上司とそりが合わないという理由で、
簡単に会社を辞めていきます。

【昇進が組織に与えるもの】

ということは、
社長や上司との関係性を重視した昇進は、
若い人の納得を得られない可能性があります。
つまり、
「社長を支え続ける上司と、一緒に働きたくない私」
ということがよくあるのです。

特に信頼や人のつながりを重視する
中小企業オーナーにとっては、
昇進が、メンバーに対するモチベーションを
あげるメッセージになるどころか、
下手な昇進が、離職を促す形になり、
組織の崩壊リスクになりえてしまいます。

おそらく、
昇進システムと組織づくりは
連動するものではないような気がします。

 

 

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- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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