第90回 儲けの渋滞

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

年末年始やお盆休み、そして大型連休。
そんな時期にテレビやネットで目にするものと言えば、渋滞のニュース。

同じ道を同じ時間に、多くの人がいっせいに利用すれば渋滞するのは当然。
他の多くの人たちと同じことをした結果、そこには渋滞という混雑が生まれ、混雑に巻き込まれた結果、目的地に着くまでに通常よりも時間がかかってしまうという訳です。

この道路渋滞って、なんだか商売にも似たようなことが言える気がするのです。


商売をする目的は何か?
その答えはオーナーそれぞれによって異なると思います。

ただ、オーナー全てに共通する目的があるとするなら、それは「儲けを出すこと」ではないでしょうか?

つまり、商売を道路に例えるなら、私たちは「儲け」という目的地を目指して、「自分の商売」という車を走らせていると言えます。

そして、ここで大事なのが、実際の道路と同様「どのルートで目的地を目指すのか?」という選択であり、この選択において私たちの多くは、儲けという目的地への最短ルートを選ぼうと考える訳です。

ただ、最短ルートは距離が短いというメリットがある一方で、デメリットもあります。
そのデメリットというのが、自分にとっての最短ルートは、他の多くの人たちにとっても最短ルートであり、最短を求める人たちが集まったルートは、結果的に渋滞してしまうということ。

じゃあ、渋滞に巻き込まれないためにどうすれば良いのかと考えた時に、私たちが取る行動。それが、裏道を通って目的地に向かうルートを考えることではないでしょうか?

裏道は一見遠回りに見えるものの、空いているから結果的に早く着く。
これは商売も同じだと思うのです。

だから、儲けという目的地に対して最短ルートで向かおうとするのではなく、自分なりの裏道を考える。

自分が考えたルートだからこそ、目的地に向かう道中も楽しく、到着した時の喜びも大きいのであり、逆にみんなと同じルートだからこそ、目的地に向かう渋滞はつまらなく、到着した時の喜びも小さいと言うこと。

商売という長い道路を走るのであれば、楽しみながら走りたいと思うのは私だけではないはずですし、せっかく実際の道路よりも無数のルートが考えられる商売において、自分だけの裏道を探さずに渋滞に巻き込まれるのは、あまりに勿体ない気がしてならないのです。

 

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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