「診療報酬が低いことはやりたくない」〜お医者さんは、なやんでる。 第60回〜

第60回 「診療報酬が低いことはやりたくない」

お医者さん
お医者さん
コロナ禍の関係もあって、最近はオンライン診療というものが流行っているらしい。しかし、この診療報酬の低さを考えると、わざわざ導入するメリットも感じないな。
お医者さん
お医者さん
とはいえ、この数年で患者数は確実に減ってきているし、何か打ち手を考えなければならないのも事実だ。どうしたらいいのだろうか。

確かにオンライン診療の報酬はかなり低いですよね。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
本当だよ。導入するのにそれなりの金額もかかるだろうし、その上でこの報酬だと二の足を踏んでしまうよね。……って、君は一体?

はじめまして。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
ふうん、アバターねえ。そういうIT系の話にも強いの?

そうですね、今でこそかなり幅広い内容のご相談に対応していますが、もともと私の専門は電子カルテのシステム導入ですので、IT系は得意分野です。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
ふうん。で、どうなの? オンライン診療。報酬が低くてもやった方がいいんだろうか。

それは一概には言えません。ただ、それ自体で儲けることは考えない方がいいですね。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
うん? ちょっと言っていることがわからないな。報酬は決まっているのだから、それ自体で儲けるしかないじゃないか。

端的に申しますと、その「報酬は決まっている」という思い込みを外すことが重要なんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
はあ? 一体何を言っているのかね。何度も言うが、実際に保険診療は報酬が決まっている。

もちろんわかっています。つまり私が言いたいのは、保険診療「ではない」メニュー、つまり自費診療を考えるべきだということなんです。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
自費診療って……そんなの簡単にできるわけないじゃないか。

そうでしょうか。先生も実感されているはずですが、今の日本は医療業界自体が縮小傾向にあります。国が医療費削減を進めているのだから、これはある意味当然のことです。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
まあ……それはその通りだが。

そして保険診療というのは、その国が決めたルールです。奇妙なことだと思いませんか。先生が固執しているルールは、業界自体を縮小させようとしている国が決めたルールなんです。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
あのね、そうだとしても仕方がないじゃないか。僕らはそれに従うしかないのだから。

そこで自費診療なんです。これは、価格を自分で決められない保険診療とはまったく違います。どんな商品をどんな価格で売ったっていい。そしてもしオリジナルの商品を作ったとしたら、オンライン診療というのはその「入り口商材」になり得るんです。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
んん? オンライン診療が「入り口商材」になる?

ええ。報酬が低いのでそれ自体で儲けるのは難しいですが、それを通じてオリジナル商品のPRを行い、自費診療の患者さんになっていってもらうわけです。こうすれば、オンライン診療で儲けられなくても、最終的な売上はあがる。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
……なるほど。あなたの言っていることがなんとなくわかってきた。
そもそも一律で報酬が決まっていることがおかしかったんです。腕のいい医者も悪い医者も売上は同じ、ってことなんですから。いい医者ほど高い報酬を得る、そういう世界観のほうが自然だと私は思うんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
確かに、私の得意分野の診療報酬はそもそも低いんだよ。それに長年不満はあった。……オリジナル商品、か。自分の知識や技術を「商品」として売り出すなんて考えてもみなかった。
病院だって「民間企業」なんです。独自の商品を作ってどんどん売り出せばいいんですよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
民間企業。確かにその通りだ。よし、ちょっといろいろ考えてみよう。また相談に乗ってくれるかな。
もちろんです!
絹川
絹川

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

感想・著者への質問はこちらから