このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/仕事の評価
某大手さん、「新任管理職研修」では、「先輩からひと言」なるセッションが組み込まれています。
数名の先輩方が新任管理職の方々へ、各々エール・メッセージを贈っている、そんな場に同席しましたが、「ひと言」と言うには重い。グッとくるものでした。
既任管理職である部長や役員、そして管理職を退任した方が登壇していたのですが、そんな、とある元管理職のひと言。
「仕事のターニングポイント」なるテーマでぽつりぽつりと語ってくださいました。
「世界のどこかで、困った人たちや、何かを成し遂げたい、そんな思いを持った人たちに、『お役立ちできる日本人になりたい。 そんな存在となれるよう日々を懸命に努めたい』 今でもそう思って過ごしているつもりです」
「僕は、若い頃から、世界中の拠点に転勤・転籍というかたちで派遣され、現地のお客様やパートナーにお招きいただき、『各国、多様な人々と仕事をする機会』をいただきました」
「行く先々で、『日本人が好き。日本に感謝している。いつか日本に行ってみたい』そんな言葉を口にしてくれる人と数多く出会いましたが、それは母国を離れ、少しばかりの不安と出どころ不明のやる気を持つ僕には、『誇らしく奮い立たされる瞬間でした』」
「どうして、そんなにも日本や日本人を『好き』でいてくれるのか?何人でもない僕に『敬意』を持って親切に接してくれるのか?、そんなことを聴きまくった」
すると、かえってくる言葉は、
「ホンダ、松下、トヨタ、ソニー、名だたる会社郡に我が社も含めていただき、『そんな会社を作った国の人でしょ。素晴らしい人に決まっている』と言われた」
「有頂天になった。自分が成し遂げたワケでもないのに。
顔を綻ばせ、飛び跳ねた。自分は何もしていないのに。。」
「それからです。仕事への取り組み方が変わったのは。息子や日本の子供たちが大人になった時、『日本は、日本人は、ウチの会社は、世界で、そのような存在でいられるのだろうか?』」
「幸いにも僕たちの世代は、『先人たちから、そのようなギフトを贈ってもらった』そんな僕らが、そのギフトを自分たちで止めて良いものだろうか?そんなはずはない」
「現状維持だなんてありえない。ましてや次の世代に負の遺産を引き継ぐなんていう無様な生き方だけは、決して行うわけにはいかない」
「目の前の評価に一喜一憂するのが、サラリーマン。世間にそんなふうに見ているのかもしれない」
「でも、僕らの評価は、今、目の前じゃない。次の世代に、誇りを繋げられるかどうかだ。僕はそう思っています」
話を聞いている新任管理職の方々には、きっと届いたはず。
グッとくるメッセージに、同じ場にいた高松まで目頭が熱くなりました。大手で働く人には、こんな素敵な方がいらっしゃるのです!