この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
『天空の歌』|隠れたキーマンである女性の<会社を発展させる秘密>Kさんの場合
「世間に認められても認められなくても、生まれ変わったらもう一度この人生を歩む」
印象派の巨匠、ピサロの言葉です。
世間にも評論家にもみとめられず、絵も売れない‥‥、苦しいままに人生を折り返した頃、友人に手紙で心を吐露しました。
ピサロは新しい技法や芸術思想をすでに創り上げていましたが、認められないまま亡くなる可能性もあったのです。誰でも良いことや正しいことをしても、一切評価されないばかりか、批判されて引きずり下ろされることもあります。時代の流れや権力構造の中ではいつの時代でもあり得ることです。
そんな時、外からの評価に頼っていたら、心が折れてしまうでしょう。やる気も行動力も無くなってしまうかもしれません。
しかし、ピサロのように、自分の過ごした時間を心から肯定することができれば心が折れないばかりか、幸せの根幹を保てます。自然に粘り強い行動もできます。
目立たなくても確実に仕事をこなしている人。努力を怠らず日々研鑽し続けることができる人。評価ではなく、自身がやっている事の意味を理解している人。そういう人こそが、隠れたキーマンなのです。
「寝室に飾る絵がほしい」依頼したKさんがそうでした。今でこそ数百店舗以上のチェーン店を経営する社長の奥様ですが、結婚した当時は「もしも夫が事業に失敗しても働き者だからなんとかなるだろう」安定とは程遠い状態でした。
一緒に暮らし始めると、男兄弟がいない家庭で育ったので、あまりにもちがうことだらけで、驚きの連続でした。それを、少しずつ、二人で話し合いながら、あわせていったそうです。「考えられないくらい自分と全然違うし、アクティブな男でしたから、最初のうちは毎日まいにち、よく話していました。そうして、どういうのが好きで嫌なのか、わかってきました」
Kさんの家は商売をやっていました。自宅にお手伝いさんや従業員が何人か一緒に住み込んでいました。生まれた時からたくさんの人間のなかで育ったのです。そういう中で絶えず人を観察していました。「案外可愛がられていたと思います。みんなが仲良く和気藹々とできるような中庸が役目でした」という生い立ちが、プラスに働いたのでしょう。
「経営者は外に出ると孤独で相談する人もいないのです。家庭がホッとできる心を許す場であるべきなのがだんだんとわかるようになりました。家に帰ってきたら、もう‥‥『帰ってきてくれてありがとう!』くらいの気持ちで自分も子供も迎えるようになりました。サポートを何気なくするのがいいと思っています」
Kさんは優しく微笑んで続けました。
「実は、男性の方が女性よりちょっと気弱な部分があると思うし、男性の方がママに甘えたい気持ちが、いくつになってもあると思います。ママに愛されて励まされるように、小さな承認の積み重ねが男の人は大事なのです。
だから、小さいことでも気を使うのを大切にしています」
従属ではない。人として優しく包んであげる。しかも、さりげなく。
仕事がうまく回っていくように働きやすくしてあげる環境があって、初めて、社長である旦那様は会社のことに全神経を集中できます。
行動を起こすための心理的な要因をモチベーションといいます。「やる気」「意欲」「動機」などの意味で使われます。外発的なものと内発的なものに分けて説明されます。
動機づけには、自分から「やってみたい」と思う内発的動機づけと、外部からの報酬やペナルティによる外発的動機づけの2種類あります。「やってみたい」「楽しい」という感情で仕事に取り組むときは、気持ちが原動力のため長期的なモチベーションアップに繋がります。
【家庭が平和で楽しいのが空気のように当たり前】と感じれば、内発的動機付けは強化されていくでしょう。当然、長期的に成功しやすくなります。
「仕事で報酬を得る」「失敗で怒られる」など、いわゆる「アメとムチ」も、モチベーションは上がりますが長く続きません。加えて、プレッシャーに耐えきれなくなったときにモチベーションが急降下してしまいます。
Kさんは、事業の浮き沈みを一切気にせず、いつでも家庭が楽しく落ち着ける環境にあることを大切にしてきたそうです。社長業は、ある意味プレッシャーと日々戦う仕事でもあります。だから、外的なモチベーションもKさんが間接的に支えているのです。
隠れたキーマンが背後で包み込んでいることで、旦那様の会社は今も拡大し続けています。
まるで画家のピサロのように、自分でモチベーションを保つ強靭さがあるKさんですが、お母様が亡くなるなど、内外の環境が変わったことで「大人の女性が癒されて元気になれる上質な空気感の絵がほしい」と思ったそうです。
そのオーダー絵画は「アンテロープという美しい地層のようなピンク色の抽象絵画がいい」というアイデアを得て、さらに内容が飛躍していくのですが、それはまた別の物語です。
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。