金融機関のトレンドというかね、いま、銀行がどういう状況なのかという話で、短期の運転資金を出す傾向があるっていう話だったんですけど。
いま、貸しはがされてるでしょ?この話したかな。
してないしてない。
コロナ融資があるじゃない?で、コロナ融資の返済が進まないじゃない?あ、まあ、猶予してるからだけど。その間にさ、プロパーがどんどん減ってってない?だいたい。
ああ。
要は、通常の返済はあるから、そっちがどんどん減ってって、でも、お金はみんなあるから気づいてない……気づいてないわけじゃないけど、通常の融資がどんどん返済に回ってると。
うんうん。
で、ここで、通常であれば、ロールオーバーって折り返しするんだけど。
「折り返し」ってなんですか?
要は、えー、「もともと5,000万借りてたのが2,000万になったから、また3,000万足して5,000万にしたね」みたいな。
うんうん。
だから減らないって話なんだけど、いま、コロナが、国のやつが入っちゃってるから、「コロナで大丈夫じゃん」みたいなので、特にメガバンクとかが折り返しをしないと。
「持ってるでしょ?」っていう意味ですか?
持ってるし、だから、もう貸さないって意味だよ。
うんうんうんうん。
だから危ないところは回収しちゃえっていう。まあ、いいところは当然出てると思うけど、多少悪いところは「もう引いちゃえ」みたいな感じにはなってきてるような状況があって。まあ、さっきの短期とはまたちがう話なんだけど、全体的なトレンドはそんな感じで、ちょっと、長期の運転融資に陰りが見えてるっていう感じはあると。
へぇ~。ということを「貸しはがし」っていうふうに表現してる?
貸しはがしとは言わないけど。通常弁済だからね。でも、相対的に見ると、というか、「貸しはがされてるよね」みたいな感じ。
なるほど。「実態、貸しはがしとも言えるよね」という意味で、ということですね。
そうそうそうそうそう。悪くはないよ、銀行はべつに。条件どおり返して、新規を出さないってだけだから。
なるほどなるほど。折り返しできないってこと。
だから、ちょっとそこは注意が必要っていうことと、あとは、長期運転資金という、それこそ「借りたら返すな!」なんかは、まさにそういう時代の財務戦略でやってきたんだけど。
なるほどなるほど。
「そもそも長期運転資金っておかしくね?」っていう話じゃん?運転資金って、前回も言ったけど、あとでもらうやつとあとで払うやつがあって、あとでもらうほうが多いから、払えないから、銀行から借りるわけじゃん。
そこの穴埋めですもんね。
穴埋めじゃん。穴埋めっていうことは短期だよねってこと。
いや、うん、ものすごくそうですね。
うん(笑)
そうか、「長期の運転資金」という時点で、「運転資金」という意味がもう成り立ってないんですね。
そう。なんでこれが起きたかっていうと、以前はそうだったんだけど、2002年の金融検査マニュアルで、書き換えを、要は短期のってずっと借りてなきゃいけないじゃない?だから、昔はずっと借りつづける、手形貸付でずっとくりかえし書き換え書き換えでやってたんだよね。それが、貸出条件緩和債権。要するに「ちょっとまずいんじゃない?」みたいな。債権者区分を少しダウンさせられなきゃいけない。要は「その貸付をすると、そのお客さんの融資先としての評価を下げなきゃいけないよね」っていうようなことになったんだって。
ほおほお。
俺もこのときは実務やってるわけじゃないから知らんけど。俺が現場出てるときは常に長期運転ってあったから。で、そうすると短期融資ができなくなるじゃない?
ああ、それを長期運転っていう形に切り替えたんですね。
そうそうそう。じゃないと貸せないから。で、5年とか7年とかであれば、折り返しやってれば、ずっと短期で貸してるのと同じじゃない?
なるほど。
それが2015年に……でも、もう7年前なのか、正常運転資金を、短期継続融資は問題ないというふうに見解が変わったの。まあ、この頃に事業性評価とかが出てきてると思うんだけど。たぶん、安倍さんとかが「短コロをやれ」と、「短期の転がしをやれ」みたいに言いだした時期じゃないかなって、なんとなく思うんだけど。
「短期の転がし」ってなんですか?
短コロっていって、ずっと貸し続けてるから、ベタ張りみたいな。運転資金だからベタ張りでいいわけじゃない?
ベタ張りが運転資金ですもんね。
なんなら、成長していくなら、たとえば当座とかの枠をそのまま増やしていくとか。
はいはいはいはい。
それをやれっていうふうに言ったんだけど、ただ、正直、金融機関なんか長期運転しかやってないじゃん、だって、2002年からだから、もう20年近く。
実務的にそれしかやってきてなかったから、っていう意味ですか?
支店長とかはたぶんそうでしょう。
うんうんうん。
それしかやってきてない人が、いきなり事業性評価もできないし、短期でいきなり張って……逆にいうと回収できない資金でもあるから。だったら、べつに長期運転でやってりゃいいんで。かつ、借りてる側も、「短期だと、はがされんじゃねーか?」みたいな。
はがされたとき怖いですもんね。一気に回らなくなるわけですから。
そうそうそう。という恐怖が、借りてる側も長期の安心感っていうか、期限の利益が長いほうがでっかいんで。そんなのもあったからっていうのもあるんだけど、これ、いま、いろんな銀行とやってて、積極的にやってる銀行、やってない銀行があるんだけど、結構、商工中金が強いなと思ってて。
ほおほおほお。
商工中金が資金繰り改善プログラムみたいなのをいまやってて、要は、「借りたら返すな!」戦法でいくと、過剰調達をしてると、借りまくってるから、利益で返済できない可能性があるのよ。まあ、現金があるから借入は返してるんだけど、それを短期に一部抱えてくれることによって、たとえば借入残を減らさないで……要は短期返済がないから。で、長期の返済を減らして収益で回るようにする、みたいなプログラムをやってて。
へぇ~。
商工中金なので、政府系なので、無茶な貸しはがしとかしないわけじゃない?っていうのと、ホームページにも「原則、継続して融資します」って書いてあんの、ちゃんと。だから、貸しはがしみたいなリスクが低いので、このへんでちょっと現場が動いてきている感じと、まあ、民間でも、ちゃんとしたところは結構やってきてるなっていうのがいまの感じ。だから、短期は短期、長期は長期に今後なっていく。まあ、金融機関いろいろあるし、特に地方とかは動きが遅いから、いままでどおりの長期運転やってくるかもしれないけど、だんだん変わってきてるっていうことは、これから銀行交渉するなかで、短期で提案されたからって……
マイナスに捉える必要はないと。
マイナスというよりは、むしろプラスというか、大丈夫だと思ってるから貸すっていうことだとは思うので。
「実態、いままでの言い方でいうと短期なんだけど、いわゆる長期運転資金として使ってたような形で継続的に貸しますよ」っていう方針で短期の提案が来るってことですよね。
そうそうそう。
ああ。
ただ、リスクとして、絶対貸しはがしがないというのは言えないんで、悪くなったときに。
まあ、そうですね。
うん。だから、そのへんは本当に商工中金なんかがいいのかなって、いま思っているし。
それは「原則で継続する」というふうに言ってるから、ってことですか?
言ってるからだし、まあ、政府系なんで、そんなに無茶はしない……どこもそんなに無茶はしないけどね。ただ、わかんないんで、正直。担当ベースで結構いかついことしてくるやつもいるんで。なので、そういうのをちょっと検討されるといいのかなあ、っていうふうには。まあ、そんな締めです。
なるほどですね。ということは、短期の運転資金というのを提案されるケースが今後増えてくるだろうけど、それは決して「長期貸さねーぞ」っていう意味ではなくて、いま、動きとして短期のほうに切り替わってる最中なので、商工中金を中心に、それを原則継続するという前提で短期になってるというのを知ったうえで、まあ、積極的というか、変にネガティブに捉えなくていいっていうことですね。
そうそう。
なるほど。これは絶対知らないっす、その話(笑)
これ、タダでやってていいのかな(笑)
え?
タダでやっていいのかな(笑)
ほんとですね(笑)。いやいや、勉強になりました。まさにリアルな話だったので、ちょっと、みなさん、うまく生かしていきましょうというか、これをきっかけに大久保先生に質問することも増えそうですので、みなさん問い合わせてみてください。
たまにはちゃんとしゃべるじゃん。
びっくりして、「まともな番組だったんだ」と思って。
うるせえ(笑)
しょーもない引っ越しの話ずーっと聞かされてたけど、いや、よかったです。
(笑)
ということで、今日は終わりましょう。
はい。
ありがとうございました。
ありがとうございまーす。