第157回 トラブルが教えてくれたこと

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

先日、仕事で頻繁に使用する機器にトラブルが起きました。
当然ですが、まともに動かない機器では仕事を進めることもできず、その日に終わらせる予定だった仕事は延期せざるを得なくなってしまいました。

その後、不具合が起きた原因を特定すべく、使用環境を変えたりしながら問題の切り分けをしていた訳ですが、そこでトラブルの原因とは全く関係のない箇所で思わぬ新しい発見があり、気づけばトラブルが起きる以前よりも、よりスムーズで、より質の高い仕事ができるようになっていたのです。

そんな結果を目の当たりにして、ふと思い出したのです。
「こんな事が前にも何回かあったよなぁ」と。


トラブルがかえって好結果を生み出すという経験。

「集客ツールを全て保存していたハードディスクが壊れてしまい、ゼロから新しいツールを考えざるを得なくなった結果、元々使っていた集客ツールよりも良いアイデアを思いつくことができた」

「ノートPCが動かなくなり、高解像度モニターのデスクトップPCに変えたら、仕事のスピードが大幅に上がった」

こんな経験が私にはある訳ですが、こうした「トラブルがかえって好結果を生み出す」という経験があるのは、私だけではないような気がします。

ではなぜ、仕事を進める上で一見マイナスに見えるこうしたトラブルが、プラスの結果を生み出すのか?

私なりに考えてみた、その答え。
それは、トラブルによる仕事の中断が「強制的に仕事を見直す機会」を作り出すからではないでしょうか?

商売が上手くいくためには、改善と継続が欠かせないと私は思っています。
ただ、改善と継続は大切である一方で、改善と継続は前日までの延長線上で仕事をしているとも言え、必ずしも前日までの延長線上だけに正解があるとは限りません。

つまり、いま取り組んでいる仕事の改善と継続は大切だけど、同時に全く違った手段を考えるという機会も大切であり、トラブルがこうした機会を強制的に作り出してくれているのではないか、ということ。

そう考えれば、今回のトラブルは私自身に新しい気づきを与えてくれた出来事であったと同時に、例えトラブルがなかったとしても、目の前の取り組みだけに囚われすぎず、定期的に立ち止まり他の選択肢について考えてみることの重要性を改めて教えてくれたような気がするのです。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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