本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
コロナの影響も残る中でやってきた価格高騰の波。
私のお店もこの影響は避けられず、現在も色々と試行錯誤をしている最中です。
「コロナの自粛が続いたせいでお客さんが戻らない」
「仕入れ価格が上がったせいで儲けが出ない」
つい、こう言いたくなってしまう気持ちは、私もお店をやっているのでよく分かります。
でも一方では、外的環境の変化を嘆いているだけでは、何も変わらないのも事実。
そこで今回は、こうしたコロナや価格高騰といった外的環境の変化へ適応していくために、私が意識していることについて書いてみようと思います。
ここ数年、私が意識してきたこと。
それは「事前の心配に頭を使うよりも、試した後の改善に頭を使うこと」。
私たちは何かを変えようと考えた時、どうしてもその取り組みが上手くいくのかどうかという事前の心配に頭を使ってしまいがちな気がします。ただ、上手くいくかどうかはやってみないと分からない以上、事前に考えすぎるよりもまずは小さく試してみて、その結果からどう改善するかを考えていった方が、はるかに早く変化に適応していくことができるのではないかと思うのです。
私自身、コロナの営業自粛中にいくつかの新しい取り組みを始めてみて、その大半は中断という結果になったものの、中には改善を続けた結果、現在私のお店の人気商品となった取り組みもあります。
もし、こうした取り組みの一つひとつを事前に上手くいくかどうかと考えていたら、試してみる数自体も減っていたでしょうし、試してみる数が減ってしまった結果、人気商品も生まれなかったのではないかと思えてなりません。
現在、私のお店では価格高騰に適応するため、流通や情報収集の改善をしています。
こうした取り組みも、結果的に上手くいくかどうかはまだ分かりません。
ただ、現状は小さく試して改善に力を注いでいる段階ではありますが、今後のお店に大きな成果をもたらしてくれそうな手応えを感じています。これも上手くいくかどうかと事前に考えていたら、まだ何も始められていなかったかも知れず、何も始めないお店が外的環境の変化に適応できる事なんてないでしょう。
事前の心配に頭を使うよりも、試した後の改善に頭を使うこと。
これが今の私が意識していることであり、失敗を避けようと事前の心配に頭を使うあまり、何も試さず外的環境の変化を嘆いていることこそが、本当の失敗を招くのではないかと私は思うのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/