第171回 閑散期は何をするべきか?

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

お正月の集まりで利用されるお客さんの需要も一段落し、私のお店は閑散期に入りました。
そんなタイミングということもあり、今回は私がこれまで店舗経営で試行錯誤してきた結果に行き着いた、閑散期の取り組みについて書いてみようと思います。

「閑散期はどうすれば売上を伸ばせるのか?」
こんな事を考えて、ネットで解決策を探そうとする店舗オーナーさんは多いのではないでしょうか?

私もこの記事を書くにあたりネットで検索してみたところ、大きく分けて以下の2つの取り組みが閑散期のおすすめとして挙げられているようです。

「年間行事に絡めたイベントを用意する」
「期間限定サービスを用意する」

確かにこうした取り組みをする事で、何もしないよりは売上を伸ばすことができると思いますし、私自身もこのような取り組みをいくつも試して、売上が伸びる経験をしてきました。

じゃあ、私のお店が今回の閑散期で売上を伸ばすためにどんな取り組みを準備しているのかと言うと、その答えは「何もしていない」なのです。

なぜ、「何もしないよりは売上を伸ばすことができる」と書いたのに、今の私のお店は何もしないのか。その理由は2つあります。

1つは「閑散期とは需要のない時期であり、ない需要を作り出すためには多くの投資が必要となるため、たとえ売上を伸ばすことができたとしても採算が合わない」からです。
そして、もう1つは「需要のない時期に売るための投資をするよりも、次の繁忙期に向けた店内体制の強化に力を注いだ方が、年間で考えれば利益は増える」と考えているからです。

創業してから約10年ほど、私はこの「閑散期はどうすれば売上を伸ばせるのか?」を考えてきました。それは、どんなに売上を上げづらい月であろうと、毎月全力で売る努力をすることこそが、本気で商売をすることだと信じていたからだと思います。

ただ、当時を振り返って考えれば、繁忙期と閑散期があると分かっていたにも関わらず、年間を通じて「売上を伸ばす」という選択しか考えていなかった事自体が思考停止であり、私が考えるべきだったのは「閑散期はどうすれば売上を伸ばせるのか?」ではなく、そもそも売上を伸ばすことが本当に最適解なのかを含めた「閑散期は何をするべきか?」であった、と今では思うのです。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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