第193回 知識と行動の間にあるもの

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

前職で営業をしていた頃、私はよく新聞や本を読んでいました。
そんな生活を約4年も続けたおかげか、起業後も私は新聞と本から様々な知識を得ることは欠かさず、その知識が自分の商売の役に立ってくれると信じていました。

でも、ある時気づいたのです。
「新聞や本からたくさん情報を得ているはずなのに、自分の商売は何も変わっていないじゃないか」と。


情報を集めて自分の知識を増やす。
私はこの行為そのものが間違っていたとは思いません。

じゃあ、なぜ情報を集める行為が間違っていなかったにも関わらず、私の商売に変化が起きなかったのかと考えてみると、それは「知識を行動に変換する作業」をしていなかったからだと思うのです。

当時の私は「自ら情報を集めに行くという姿勢」が大切だと思っていました。
でも、今から振り返って考えてみると、当時の私は「情報をたくさん集めさえすれば商売が上手くいく」と考えていたようにも思え、これは見方を変えれば「行動に変化を起こす」という行為をサボっていたとも言えます。

商売において私たちが情報を集める目的は、現状を変えるためだと思います。
現状を変えるためには行動を変える必要があり、行動を変えるために知識を増やすのでしょう。

ただ、ここで問題なのは、「知識を増やす」と「実際に行動する」間には、「自分の環境に置き換えて考える」という作業が必要であり、情報をたくさん集めていたにも関わらず行動が変わらなかった当時の私は、自分なりに勉強しているつもりではあったものの、実は考えるという作業を怠けていただけだったということ。

自分で考えることをせず、ただひたすら知識を増やすだけで業績を改善できるなら、こんなに楽なことはないでしょう。

得た知識をどう解釈して行動に移すのか?

ここにこそ、お店ならではの違いが生まれるのであって、知識を増やすだけで考えることをしていなかった私のお店に何も変化が起きなかったのは当然であり、そう考えるならば、当時の私が増やすべきだったのは「知識の量」ではなく「思考の量」だった、と今は思うのです。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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