第228回 日本人労働者の未来

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第228回「日本人労働者の未来」


安田

いま東京に高級ホテルがどんどん建ってまして。なんと1泊400万のホテルまであるそうです。

久野

完全にインバウンド狙いでしょうね。

安田

日本人はこんな高いホテルに泊まらないですよ。

久野

すごいお金持ちだけでしょう。前澤さんとか。

安田

前澤さんは資産2000億円ですから。

久野

あのクラスの人たちだけじゃないですか。相手にしてる日本人って。

安田

普通の日本人はもう相手にしていないと。

久野

世界にはいくらでもお客さんがいるので。富裕層から「日本には泊まるホテルがない」って昔から言われてて。そこ狙いでしょうね。

安田

日本にカジノを造るのも同じですよね。日本人がギャンブル中毒になるとか言われてますけど。日本人のお客さんなんて想定してない。

久野

カジノはVIPルームで儲けてるんです。何千万円もお金を預けておくシステムで、日本人はほとんど想定してないと思います。

安田

パチンコ屋のイメージで考えてますけど。もっとゴージャスですよね。世界のVIPが遊びに来る場所。

久野

そこを狙ってると思います。

安田

星野リゾートが東京につくったホテルもかなり高級で、1泊10万円以上がもう当たり前。これも完全にインバウンド狙いですよね。

久野

そうでしょう。日本人はもうビジネスホテルしか泊まれなくなるんじゃないですか。

安田

銀座の高級ブランド店も英語と中国語のお客さんばかりです。

久野

コロナが落ち着いて、前以上にインバウンドが増えると言われてます。

安田

日本語が通じない高級ホテルとか、高級ブランドショップが出てきそう。

久野

「日本人お断り」とか書かれちゃうかもしれないです(笑)

安田

それにしても海外の方は日本が好きですよね。

久野

やっぱり日本って観光に対して魅力があるじゃないですか。

安田

食べ物もおいしいし、安全だし。

久野

日本の自然は外国人にとってすごく魅力的みたいですよ。日本人はあんまり気付いてないんですけど。

安田

欧米の方は地方都市が好きですよね。

久野

日本人より詳しかったりします。

安田

でも地方にはいいホテルがない。

久野

そう。だから外資がどんどんつくってるわけです。ビジネス投資としてはすごく狙い目なので。

安田

日本人はスタッフとして働くことになるんでしょうか。

久野

そうですね。人件費も安いし、物価もオペレーションコストも安いから。

安田

安い割りに真面目に働いてくれるし。サービスもしっかりするし。きっと儲かるんでしょうね。日本で日本人を使った外国人向けビジネス。

久野

デービッド・アトキンソンが言ってますけど、日本人はヴィッツ(VITZ)とか、軽自動車を造るのが得意なんだと。要は、低価格でお値打ちなものを造るのがすごく得意。

安田

飲食店もそんな感じですよね。安いけどすごく美味しい。手間もかかってるし。

久野

富裕層向けのブランドって星野リゾートぐらいだと思うんですよ。ブランドつくって高い価格で売るのが日本人は本当に苦手。

安田

もったいないですよね。大チャンスなのに。

久野

富裕層向けのホテルも市場としてガラ空きなんですよ。

安田

帝国ホテルやニューオータニも建て替えて新しくなってますけど。自分が泊まるんだったらやっぱり外資系に行きたいです。

久野

やっぱり洗練されてますよね。

安田

はい。部屋も格好いいし、何十万も出すんだったら、そっちに行っちゃいます。

久野

日本人の経営者もそういうホテルに泊まればいいんですけど。高いものを売る感覚を養うためにも。

安田

日本の経営者は休まないですから。たまの休みは家族と一緒だし。そんなホテルには泊まらないですよ。

久野

休みをとって勉強しないとレベルが上がっていきません。

安田

私も飲食店でよく言うんです。「あそこ美味しいから行ってみたほうがいい」って。でも「うちは休みがないから」ってみんな言いますね。

久野

休むと言っても1日だけですから。失うものより得るものの方が遥かに大きいですよ。

安田

ですよね。新たな価値観をインプットしてサービスの質を上げていかないと。

久野

そうしないと値上げはできないです。

安田

値段を上げられないから長く働かなくちゃいけない。だから休みもなくて勉強もできない。その繰り返しです。

久野

発想が逆ですよ。このままだと儲かるビジネスは全部外資に持っていかれます。

安田

今までの日本は「お金がない人が稼ぎにくる場所」だったじゃないですか。これからは違うんでしょうね。お金持ちのビジネスマンが稼ぎにくる場所になる。

久野

そうですね。お金を持ってる外国人がどんどんビジネスを仕掛けに来てます。

安田

中国や韓国の会社が日本に工場建てて、日本人を雇い始めているそうです。

久野

そういう時代になっちゃってるんですよ。いい事業はどんどん買われていく。後継者もいないし。

安田

日本人は言われたことをちゃんと真面目にやりますからね。高い給料は求めないし。海外からどんどん出資が集まるかもしれません。

久野

そういう未来はあり得ます。幸せかどうか分からないですけど。

安田

「1億総雇われ人」みたいな。

久野

それを言っちゃいけないですよ(笑)

安田

ホテル以外のビジネスも、どんどん日本に進出してくると思いますか。

久野

スキー場やゴルフ場の経営も外国人が仕掛けてくるでしょう。リゾート関連施設は狙い目だと思います。

安田

GAFAみたいな会社も来ますかね。日本に本社を移して日本人を使って儲けるようになるとか。

久野

イーロン・マスクも日本でロケット会社をやるかもしれないです。

安田

英語が話せないと雇ってもらえないでしょうけどね。

久野

そこはプライド持ってほしいですね。日本語しか話しませんって。

安田

無理でしょう(笑)じつは私の息子もインターナショナル幼稚園に行ってます。

久野

英語で授業するんですか。

安田

はい。先生はみんなネイティブで。卒園する頃には英語で会話ができるそうです。

久野

安田さんでもそう考えるんですね(笑)

安田

やっぱり考えますよ。日本語だけで生きていけるとは思えないですから。

久野

もう英語で喋りますか?

安田

ウチはまだ入園して3か月ですけど。「オーマイガッ」とか言ってます。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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