第154回 従業員を守れない会社に「エンタメ」は作れない

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第154回 従業員を守れない会社に「エンタメ」は作れない

安田

最近は「カスハラ客を出禁にしたら客単価が上がって売上も増えた」という話も聞きますが、そういういわゆる「迷惑客」について、倉橋さんはどうお考えですか?


倉橋

働いている人に危害を加えたり精神的な苦痛を与えるような方については、お客様とは思わなくていいと社内には伝えています。

安田

なるほど。カスタマーハラスメントにはノーと言っていいと。


倉橋

ええ。スタッフがポジティブな状態でいないと、エンタメの仕事なんてできないですからね。理不尽に怒鳴られたりしたら恐怖でいっぱいになって、楽しいことをクリエイトするどころじゃなくなってしまう。

安田

確かにそうですよね。具体的には、どういう対応をしているんですか?


倉橋

社内にクレーム対応を引き継ぐ部署があって、現場で解決できないものはそこに上げます。それでも収まらなければ外部にお願いしたり、弁護士に書面を作ってもらって「これ以上のサービスはできません」とお伝えする。民事としてきちんと対応します。

安田

会社として明確なルールがあるわけですね。ちなみにSNS上で社員さんが誹謗中傷されたこともあったそうですけど、そういうネット上のトラブルにも対応するんですか? 店舗の中だけの話ではなく。


倉橋

その時も開示請求してきちんと対応しました。店舗でもSNSでも、働く人を守るのは会社の使命だと思っています。

安田

素晴らしいですね。でも線引きが難しい部分もありますよね。明らかな暴力や土下座の強要なら誰でもアウトだとわかりますけど、グレーゾーンもあるじゃないですか。静かなお店でちょっと声が大きかったり、「俺は客だぞ」と開き直ったり。こういう微妙な場面はどう判断するんですか。


倉橋

そこはその店舗の店長や責任者の倫理観に任せるしかないですね。「あなたのお店の従業員を守るとき、そのフィルターは自分の判断ですよ」と伝えています。頑張りすぎて我慢してしまう人もいるので、線引きは誰かが決めなきゃいけない。

安田

確かになぁ。でも店長が不在のときは誰が判断するんですか? 判断する人がいないと現場が止まってしまいますよね。


倉橋

店長がいなければ副店長、副店長もいなければ店長補佐と、次の役職の人がすべての意思決定をする。地震が来たときの退避判断と同じで、そこにいるトップが決めるルールになっています。

安田

なるほどなるほど。その人が「この方はお客様ではありません」と判断したら、会社もそれに従うと。でもそう考えると、結構な権限を現場に渡していることになりますよね。判断基準にバラつきが出ないよう、何かすり合わせはしているんですか?

倉橋

「こういうケースはこう対応すべきだ」という情報共有は社内でやっています。ただ最終的には現場の倫理観に委ねる部分がどうしてもありますね。日頃から、精神的に耐え難いことがあったら、きちんとお客様に伝えていいですよとは言っています。

安田

なるほど。あとはスタッフへのカスハラだけでなく、お客さん同士のトラブルもありますよね。一つの機械を朝から晩まで独占するとか、他のお客さんに余計なことを言うとか。

倉橋

そういう場合もしっかり店舗で対応します。ディズニーランドの運営と同じで、店舗全体の空間を心地よく保つのが責任者の仕事ですから。お客さん同士で不快なことが起きていたら「やめてください」と伝えなきゃいけない。

安田

ははぁ、確かに大事なことですけど、なかなか大変な仕事ですね。

倉橋

そうですね。でもそれを放置してしまったら、本来楽しむべきお客様が楽しめなくなってしまいますから。

安田

リッツ・カールトンのクレドに「紳士淑女にサービスする紳士淑女であれ」とありますけど、あれもお客さんに一定の振る舞いを求めているわけですよね。お客様に安心して楽しんでいただくために、毅然と対応すると。店舗は私有地だから、法的にも出入り禁止にできますし。

倉橋

そうですね。もし出入り禁止にした方が再来店されたら、警察に通報できる体制も整えています。

安田

ほう、なるほど。そこまで準備しているんですね。

倉橋

ええ。サービス業はたくさんのお客さんに来ていただく分、不快なことが起きやすい面はありますけど、そこをきちんと管理するのが会社の役割だと思っています。

安田

なるほどなぁ。お店に行かなくなる理由って、結局は二つだと思うんですよ。店員の対応が悪いか、客層が悪いか。どんなにいいお店でも客層が悪かったら行かなくなりますもんね。

倉橋

同感です。やっぱりそこもターゲティングなんです。万代のターゲットであるファミリー層が心地よく安心して過ごせるお店であるために、不快な要因は取り除かないといけないと思っています。

安田

ターゲットのお客様に本当に喜んでもらうための判断だということですね。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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